【プロ講師解説】このページでは『無機化学で出てくる水溶液中のイオンの色、化合物(沈殿)の色』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
水溶液中のイオンの色
イオン | 色 |
---|---|
Cu2+ | 青色 |
Fe2+ | 淡緑色 |
Fe3+ | 黄褐色 |
Ni2+ | 緑色 |
Cr3+ | 緑色 |
Mn2+ | 淡桃色 |
CrO42- | 黄色 |
Cr2O72- | 赤橙色 |
MnO4– | 赤紫色 |
I3– | 褐色 |
[Cu(NH3)4]2+ | 深青色 |
[Ni(NH3)6]2+ | 青紫色 |
※イオンの基本カラーは無色。上記は色に特徴があるイオンたち。
※色のついた金属イオンは基本的に遷移元素
※酸化還元滴定(実験・計算問題・指示薬・硫酸酸性にする理由など)でMn2+の色を無色と紹介しているが、これは滴定で生じるMn2+の濃度が極めて低いため、淡桃色が極限まで薄まった結果無色に見えていると考えよう。
※I3–が褐色なのは”うがい薬”でイメージしよう。うがい薬にはヨウ素が含まれている。
※イオンに何かが加わると基本的に色が濁る(or濃くなる)イメージ。Cu2+の色は青色で[Cu(NH3)4]2+になると深青色になる、
水酸化物の色
水酸化物 | 色 |
---|---|
Fe(OH)2 | 緑白色 |
Fe(OH)3 | 赤褐色 |
Cu(OH)2 | 青白色 |
Cr(OH)3 | 灰緑色 |
Ni(OH)2 | 灰緑色 |
それ以外の水酸化物 | 白色 |
※水酸化物の基本カラーは白色。上記は色に特徴がある水酸化物たち。
※イオンに何かが加わると基本的に色が濁る(or濃くなる)イメージ。Fe2+は淡緑色なのでそれに水酸化物イオンが加わったFe(OH)2は緑白色。Cr3+は緑色なのでCr(OH)3は灰緑色。
酸化物の色
酸化物 | 色 |
---|---|
CuO | 黒色 |
Cu2O | 赤褐色 |
Ag2O | 暗褐色 |
MnO2 | 黒色 |
FeO | 黒色 |
Fe3O4 | 黒色 |
Fe2O3 | 赤褐色 |
ZnO | 白色 |
HgO | 黄色 |
※鉄が酸化したものはサビだから鉄の酸化物(FeO・Fe3O4)は基本黒色。さらに酸化が進むとFe2O3のように赤色になってくる。
※CuO(黒)を加熱するとCu2O(赤色)になる。(フェーリング反応)
※MnO2はマンガン乾電池に使われている。
※Znの物質は白色系統が多い。ZnOはジンクホワイトと呼ばれ白色顔料(ベビーパウダーなど)として使われる。
※HgOは教科書や参考書に書いてあることが多いが入試にはあまり出ない。
塩化物の色
塩化物 | 色 |
---|---|
AgCl | 白色 |
PbCl2 | 白色 |
Hg2Cl2 | 白色 |
※塩化物は全て白色。入試頻出なのはこの3つである。
硫酸塩の色
硫酸塩 | 色 |
---|---|
CaSO4 | 白色 |
SrSO4 | 白色 |
BaSO4 | 白色 |
PbSO4 | 白色 |
※硫酸塩は全て白色。入試頻出なのはこの4つである。
炭酸塩の色
炭酸塩 | 色 |
---|---|
CaCO3 | 白色 |
BaCO3 | 白色 |
※炭酸塩は全て白色。入試頻出なのはこの2つである。
硫化物の色
硫化物 | 色 |
---|---|
ZnS | 白色 |
SnS | 褐色 |
CdS | 黄色 |
MnS | 肉紅色 |
※沈殿は基本的に白色が多いが、硫化物の沈殿は基本が黒色。上記は色に特徴がある硫化物たち。
※ZnSはZnが入っているので白色になる。(Znの化合物は白色が多い)
※MnSはMnが含まれている。Mn2+の色は淡桃色だったが、先述の通りイオンに何かが加わると基本的に色が濁る(or濃くなる)ので、MnSの色は肉紅色となる。
クロム酸塩の色
クロム酸塩 | 色 |
---|---|
BaCrO4 | 黄色 |
PbCrO4 | 黄色 |
Ag2CrO4 | 赤褐色 |
※BaCrO4、PbCrO4はCrO42-の色が黄色であることを意識すると覚えやすい。
ハロゲン単体の色
ハロゲン単体 | 色 |
---|---|
F2 | 淡黄色 |
Cl2 | 黄緑色 |
Br2 | 赤褐色 |
I2 | 黒紫色 |
※常温常圧においてF2とCl2は気体、Br2は液体、I2は固体である。色と合わせて物質の状態についてもイメージしながら覚えるようにしよう。(詳しくは常温・常圧時の物質の状態まとめ(気体・液体・固体)を参照)
ハロゲン化銀の色
ハロゲン化銀 | 色 |
---|---|
AgCl | 白色 |
AgBr | 淡黄色 |
AgI | 黄色 |
※塩化物の沈殿は全て白なのでAgClは白。
※周期表上で下の元素になるにつれて色が濃くなる(白色→淡黄色→黄色)と覚えよう。
鉄のイオンの検出反応
イオン | 操作 | 沈殿(溶液)の色 |
---|---|---|
Fe2+ | ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムK3[Fe(CN)6]を加える | 濃青色↓ |
Fe3+ | ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウムK4[Fe(CN)6]を加える | 濃青色↓ |
チオシアン酸カリウムKSCNを加える | 血赤色aq |
※Fe2+を含む水溶液にK3[Fe(CN)6]を加える又はFe3+を含む水溶液にK4[Fe(CN)6]を加えると濃青色の沈殿を生じる。
※Fe3+を含む水溶液にKSCNを加えると溶液が血赤色になる。(沈殿ではないことに注意)
※詳しくは鉄の単体・化合物の性質や特徴・製法・イオンの色などを参照
金属単体の色
金属単体 | 色 |
---|---|
Cu | 赤色 |
Au | 黄色 |
Pb | 青色 |
※金属の単体の色は基本的に銀白色である。
※Cuの色は銅色ではなく赤色と表現する。
※Auは当然金色だが、金色は黄色に金属光沢が加わったものとして考えて色を聞かれたら黄色と答える。
※Pbは基本的に銀白色でOKだが、他の金属と比べてやや青みを帯びている。
気体の色
気体 | 色 |
---|---|
F2 | 淡黄色 |
Cl2 | 黄緑色 |
NO2 | 赤褐色 |
O3 | 淡青色 |
※気体の色は基本的に無色である。上記は色に特徴がある気体たち。
炎色反応の色
炎色反応の色に関しては【炎色反応】色一覧や仕組み、具体例、操作などを参照
一問一答
イオン | 色 |
---|---|
Cu2+ | 【1】 |
Fe2+ | 【2】 |
Fe3+ | 【3】 |
Ni2+ | 【4】 |
Cr3+ | 【5】 |
Mn2+ | 【6】 |
CrO42- | 【7】 |
Cr2O72- | 【8】 |
MnO4– | 【9】 |
I3– | 【10】 |
[Cu(NH3)4]2+ | 【11】 |
[Ni(NH3)6]2+ | 【12】 |
塩化物 | 色 |
---|---|
AgCl | 【1】 |
PbCl2 | 【2】 |
Hg2Cl2 | 【3】 |
硫酸塩 | 色 |
---|---|
CaSO4 | 【1】 |
SrSO4 | 【2】 |
BaSO4 | 【3】 |
PbSO4 | 【4】 |
炭酸塩 | 色 |
---|---|
CaCO3 | 【1】 |
BaCO3 | 【2】 |
酸化物 | 色 |
---|---|
CuO | 【1】 |
Cu2O | 【2】 |
Ag2O | 【3】 |
MnO2 | 【4】 |
FeO | 【5】 |
Fe3O4 | 【6】 |
Fe2O3 | 【7】 |
ZnO | 【8】 |
HgO | 【9】 |
水酸化物 | 色 |
---|---|
Fe(OH)2 | 【1】 |
Fe(OH)3 | 【2】 |
Cu(OH)2 | 【3】 |
Cr(OH)3 | 【4】 |
Ni(OH)2 | 【5】 |
それ以外の水酸化物 | 【6】 |
クロム酸塩 | 色 |
---|---|
BaCrO4 | 【1】 |
PbCrO4 | 【2】 |
Ag2CrO4 | 【3】 |
硫化物 | 色 |
---|---|
ZnS | 【1】 |
SnS | 【2】 |
CdS | 【3】 |
MnS | 【4】 |
関連:無機のドリルが、できました。
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細