【プロ講師解説】このページでは『遷移元素に共通する性質』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
遷移元素とは
周期表上で3〜11族の元素を遷移元素という。
遷移元素の特徴
①周期表の横隣で性質が似ている
②1つの元素が複数の酸化数をとる
③錯イオンを形成するものが多い
④イオンに色がついているものが多い
②1つの元素が複数の酸化数をとる
③錯イオンを形成するものが多い
④イオンに色がついているものが多い
Point!
遷移元素に共通する基本的な特徴は上の4つ。それぞれ順番に説明していこう。
①周期表の横隣で性質が似ている
遷移元素は、周期表の横隣(=同周期)で性質が似たような性質を示すことが多い。
一方、典型元素は縦(=同族)で性質が似ていることが多いので、対比して聞かれることがある。
②1つの元素が複数の酸化数をとる
遷移元素は1つの元素が様々な酸化数をとることがある。
化合物 | 含まれるイオン | 酸化数 | |
---|---|---|---|
鉄Fe | Fe(OH)2 | Fe2+ | +2 |
Fe2O3 | Fe3+ | +3 | |
銅Cu | Cu2O | Cu+ | +1 |
CuSO4 | Cu2+ | +2 |
※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照
③錯イオンを形成するものが多い
遷移元素は、錯イオンを形成するものが多い。
名称 | 化学式 |
---|---|
ジアンミン銀(Ⅰ)イオン | [Ag(NH3)2]+ |
ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸イオン | [Fe(CN)6]4- |
※錯イオンについて詳しくは【錯イオン】色・配位数・形・価数・命名法を総まとめを参照
④イオンに色がついているものが多い
遷移元素のイオンや化合物は着色しているものが多い。
イオン | 色 |
---|---|
Cu2+ | 青色 |
Fe2+ | 淡緑色 |
Fe3+ | 黄褐色 |
Ni2+ | 緑色 |
Cr3+ | 緑色 |
Mn2+ | 淡桃色 |
※イオンの色について詳しくは無機化学の色まとめ(イオン/化合物(沈殿)/ハロゲンなど)を参照
遷移元素に関する演習問題
問1
【】に当てはまる用語を答えよ。
3〜11族の元素を【1】といい、全て【2(金属or非金属)】元素である。
問2
【】に当てはまる用語を答えよ。
遷移元素は周期表の【1(縦or横)】で性質が似たような性質を示すことが多い。対して典型元素は【2(縦or横)】で性質が似ていることが多い。
問3
【】に当てはまる用語を答えよ。
遷移元素は1つの元素が様々な酸化数をとることがある。例えば鉄イオンには【1】と【2】の2種類が、銅イオンには【3】と【4】の2種類が存在する。
問4
【】に当てはまる用語を答えよ。
遷移元素は【1】イオンを形成するものが多い。
問5
【】に当てはまる用語を答えよ。
遷移元素のイオンや化合物は、着色しているものが多い。例えばCu2+は【1】色、Mn2+は【2】色である。
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著者プロフィール
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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