遷移元素に共通する性質まとめ

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『遷移元素に共通する性質まとめ』について解説しています。


遷移元素とは

  • 周期表上で3〜12族の元素を遷移元素という。
  • 遷移元素にはいくつか共通した性質・特徴があるため、このページではそれを紹介する。

旧課程では3~11族を遷移元素としていました。今でも参考書によっては3~11族になっている場合があります。

参考:周期表(覚え方・語呂合わせ・族や周期の見方など)


遷移元素の性質・特徴

  • 遷移元素には次のような特徴がある。

●遷移元素の特徴

  1. 融点が高く、密度が大きい
  2. 周期表の横で性質が似ている
  3. 1つの元素が複数の酸化数をとる
  4. 錯イオンをつくる
  5. イオンに色がついている
  6. 触媒としてはたらくものが多い

❶ 融点が高く、密度が大きい

  • 遷移元素の単体の融点は高く、1000℃を超えるものが多い。なかでも、タングステンWは金属の中で最も融点が高く(約3700℃)、電球のフィラメントなどに用いられる。
  • 遷移元素の密度は大きく、重金属である。

❷ 周期表の横で性質が似ている

  • 遷移元素は周期表の横で性質が似ている。
  • この性質は、典型元素と異なり価電子の数が族番号によらず1〜2個で一定であることに起因する。
  • 典型元素は縦で性質が似ているため、対比させて聞かれる場合がある。

参考:周期表(覚え方・語呂合わせ・族や周期の見方など)

❸ 1つの元素が複数の酸化数をとる

  • 遷移元素は1つの元素が複数の酸化数をとる場合がある。
  • 例えば、鉄FeのイオンにはFe2+とFe3+、銅のイオンには Cuと Cu2+がある。
化合物含まれるイオン酸化数
鉄FeFe(OH)2Fe2++2
Fe2O3Fe3++3
銅CuCu2OCu+1
CuSO4Cu2++2

参考:酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)

❹ 錯イオンをつくる

  • 遷移元素は錯イオンを形成するものが多い。
名称化学式
ジアンミン銀(Ⅰ)イオン[Ag(NH3)2]
ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸イオン[Fe(CN)6]4ー

参考:【錯イオン】色・配位数・形・価数・命名法を総まとめ

❺ イオンに色がついている

  • 遷移元素のイオンや化合物は着色しているものが多い。
イオン
Cu2+青色
Fe2+淡緑色
Fe3+黄褐色
Ni2+緑色
Cr3+緑色
Mn2+淡桃色

参考:無機化学の色まとめ(イオン/化合物(沈殿)/ハロゲンなど)

❻ 触媒としてはたらくものが多い

  • 遷移元素は気体の製法や工業的製法のなかで触媒としてはたらくものが多い。

MnO2触媒→ O2の製法
V2O5触媒→接触法

参考:気体の製法(反応式・原理・注意事項など)
参考:接触法(濃硫酸の工業的製法・仕組み・反応式・触媒など)

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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