はじめに

両性元素(Alなど)の単体・酸化物・水酸化物の特徴や製法、酸・塩基との反応による錯イオン形成など完全まとめ!!で両性元素の代表格として登場したアルミニウム。今回はそのアルミニウムの製法であるボーキサイトの精錬、及び融解塩電解について一から丁寧に解説していく。ぜひこの機会にアルミニウムの製法をマスターしておこう!


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工業的製法の流れ・仕組み

アルミニウムの工業的製法は主に「ボーキサイト(Al2O3)の精錬」と「融解塩電解(溶解塩電解)」の2段階に分けることができる。ここでは、これらの段階をより細かくした以下の4STEPで、工業的製法の流れ・仕組みを一から確認していこう。

STEP1 ボーキサイトを水酸化ナトリウムNaOH水溶液に溶かす
→ [Al(OH)4が生成
STEP2 STEP1で作った溶液のろ液を大量の水で希釈
→ Al(OH)3の沈殿が生成
STEP3 Al(OH)3を強熱する
→ Al2O3(アルミナ)が生成
STEP4 融解した氷晶石にアルミナを溶かし、融解塩電解する
→ 純粋なアルミニウムAlが生成
Point!

STEP1

ボーキサイト(主成分:Al2O3・H2O)を水酸化ナトリウムNaOH水溶液に溶かして[Al(OH)4にする

まずは、アルミニウムの原料となる”不純物”を含んだ酸化アルミニウムであるボーキサイトをNaOH水溶液に溶かして[Al(OH)4にする。

\[
Al_{2}O_{3}+2NaOH+3H_{2}O →2Na[Al(OH)_{4}] \]

STEP2

STEP1で作った溶液のろ液を大量の水で薄め、Al(OH)3の沈殿を作る

STEP1の溶液を大量の水で薄めてpHを下げる。pHを下げるとルシャトリエの原理により、以下の平衡が右に移動してAl(OH)3の白色沈殿ができる。

\[
[Al(OH)_{4}]^{-}⇄Al(OH)_{3}↓+OH^{-}
\]

STEP3

Al(OH)3を強熱し、純度の高いAl2O3(アルミナ)を得る

次に、Al(OH)3を加熱し、純度の高いAl2O3アルミナ)を得る。

\[
Al(OH)_{3}→Al_{2}O_{3}+3H_{2}O
\]

STEP4

融解した氷晶石(Na3AlF6)にSTEP3で得たアルミナを溶かし、溶解塩電解して純粋なアルミナを得る

最後に、融解した氷晶石(Na3AlF6)にSTEP3で得たアルミナを溶かし、融解塩電解して純粋なアルミナを得る。

氷晶石というのは”融点降下剤”の一種。Al2O3の融点は極めて高い(約2000℃)が、氷晶石を使うことで半分の1000℃近くまで下げることができる。

融解塩電解について詳しいことは以下に別枠で書いてあるから確認していこう。

融解塩電解の仕組み

STEP1 融解した氷晶石にAl2O3を加え、電極を炭素Cとし電気分解を行う
STEP2 STEP1で発生したO2-が陽極で電子を離しCOやCO2になる
STEP3 STEP1で発生したAl3+が陰極で電子を受け取り、純粋なアルミニウムとなる
Point!

融解塩電解は上の3STEPで考えることができる。

STEP1

融解した氷晶石にAl2O3を加え、電極を炭素と電気分解する

まずは、融解した氷晶石にAl2O3を加え、電極を炭素とし融解塩電解する。

ちなみに、融解塩電解の反応式は次の通り。

\[
Al_{2}O_{3} → 2Al^{3+} + 3O^{2-}
\]

ここで発生したAl3+とO2-はそれぞれSTEP2・3で使われる。

STEP2

STEP1で発生したO2-は陽極でCOやCO2になる

次に、STEP1で発生したO2-が陽極でCOやCO2になる。

この時の反応式は次の通り。

\[
C + O^{2-} → CO + 2e^{-}\\
C + 2O^{2-} → CO_{2} + 4e^{-}
\]

STEP3

STEP1で発生したAl3+は陰極で電子を受け取り純粋なAlとなる

最後に、STEP1で発生したAl3+が陰極で電子を受け取り純粋なAlとなる。

この時の反応式は以下の通り。

\[
Al^{3+} + 3e^{-} → Al
\]

融解塩電解の反応式

融解塩電解の陰極・陽極の反応式と電解全体の反応式をそれぞれまとめておこう。

陰極の反応式

\[
C + O^{2-} → CO + 2e^{-}\\
C + 2O^{2-} → CO_{2} + 4e^{-}
\]

陽極の反応式

\[
Al^{3+} + 3e^{-} → Al
\]

全体の反応式

\[
2Al_{2}O_{3} + 3C → 4Al + 3CO_{2}
\]

なぜAl3+水溶液の電気分解ではダメなのか

このような疑問を持つ人は多いと思う。

「融解塩電解なんで面倒なことせずに、普通にAl3+の入った水溶液を電気分解すればいいんじゃんないの?」

これはイオン化傾向の知識を元に説明することができる。

イオン化傾向…Al > H2
Point!

Al3+とH+のイオン化傾向を比べると、Al3+の方が高い。したがって、H2Oから電離したH+が存在する「水溶液」の場合、負極からきたeを受け取って(イオンから)単体になるのはH+の方になり、結果的に目的であるAlの単体を得ることがとても難しくなってしまう。

これがアルミニウムの製法としてAl3+を含む水溶液の電気分解ではなく融解塩電解が使われる理由である。

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