はじめに

有機化合物の分離法について正確に理解できている高校生は非常に少ない。このページでは有機化合物の分離法について手順や原理を一から丁寧に解説していく。ぜひこの機会に有機化合物の分離を理解して他の受験生と差をつけよう!


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抽出とは

2種類の混ざり合わない溶媒(水とジエチルエーテルなど)を用いて、溶解度の差を利用すると、芳香族化合物を分離することができる。この操作を抽出という。

芳香族化合物のほとんどは極性の高い水よりも極性の低いジエチルエーテルのような有機溶媒に溶けやすい。しかし、芳香族化合物でも、酸・塩基反応によって”塩”に変えられると水の方によく溶けるようになる。これは塩は簡単に電離するイオン性物質なので電子してイオンになって水和されると安定になるためである。

ちなみに、ジエチルエーテルと水の密度を比較するとジエチルエーテルの方が小さいので、上層がジエチルエーテル層、下層が水層になっている点も把握しておこう。

分離の原理

ここからは芳香族化合物の分離の原理について、酸性物質であるフェノールと安息香酸、塩基性物質であるアニリンを使って解説していく。

アニリン

アニリンを含む有機溶媒に塩酸を加えると、アニリンは中和されて水溶性の大きな塩となり、水層へ移動する。

反応後、強塩基である水酸化ナトリウム水溶液を加えると、弱塩基のアニリンが遊離して(弱塩基遊離反応)再び有機溶媒層へと移動する。

フェノール・安息香酸

フェノールと安息香酸はともに酸性物質なので、水酸化ナトリウム水溶液を加えると中和されて塩となり、水槽へと移動する。

反応後、強酸である塩酸を加えると、弱酸であるフェノールや安息香酸が遊離して再び有機溶媒層へと移動する。

ここからはフェノールと安息香酸をどのように分離していくかという点について考えていく。

【保存版】フェノール類の名称・製法・性質・反応まとめ!!でやったように、炭酸はカルボン酸よりも弱く、フェノールよりも強い酸である。これを利用する。

フェノールと安息香酸のエーテル溶媒に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると、(弱酸遊離反応により)安息香酸だけが反応して水によく溶ける塩となり、水層へと移動する。

今度は、安息香酸ナトリウムとナトリウムフェノキシドの混合水溶液に二酸化炭素を通じると、フェノールが遊離して、有機溶媒層へろ移動する。

これらの反応を利用して、フェノール・安息香酸・アニリン・ベンゼンの混合液からそれぞれの物質を分離すると次のようになる。(分離には分液ろうとを使用)

①塩酸を加えると塩基性物質であるアニリンのみがイオン形になり水層へと移動する→水層を分離することでアニリンGET!!

②炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると弱酸遊離反応により安息香酸のみがイオン形になり水槽へと移動する→水層を分離することで安息香酸GET!!

③水酸化ナトリウム水溶液を加えるとフェノールがナトリウムフェノキシド(フェノキシドイオン)となり水槽へと移動する→水層を分離することでフェノールGET!
また、ベンゼンは中性物質であり①②③の全てで反応しないので最後までジエチルエーテル層に残る。

PLUS+

分液ろうとは大学で有機化学系の実験を行うときに使用する。

溶液を混ぜたときに二酸化炭素などの気体が発生すると分液ろうと内の圧力が上がって液が漏れてくる恐れがある。したがって、(栓が閉まっていることを確認した上で)定期的に分液ろうとを逆さまにしてコックを抜き、ガス抜きをする必要がある。

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