セントラルドグマ(DNA複製・タンパク質合成の流れ)

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『セントラルドグマ(DNA複製・タンパク質合成の流れ)』について解説しています。


DNA複製

  • DNA複製は次の手順で考える。

●STEP1
二重らせん構造を形成している2本鎖DNAをほどく
●STEP2
それぞれの鎖を鋳型にし、酵素のはたらきと相補的塩基対をつくる能力によって複製する

STEP
二重らせん構造を形成している2本鎖DNAをほどく

まず、二重らせん構造を形成している2本鎖DNAをほどく。

STEP
それぞれの鎖を鋳型にし、酵素のはたらきと相補的塩基対をつくる能力によって複製する

次に、それぞれの鎖を鋳型にし、酵素のはたらきと相補的塩基対をつくる能力によって複製する。


タンパク質の合成

  • DNAからは3種類のRNAがつくられる。1つはタンパク質の設計図のコピー(伝令RNA:mRNA)、2つ目はその設計図にしたがってアミノ酸を運んでくる運搬RNA(tRNA)、3つ目はタンパク合成の場となるリボソームを構成し、アミノ酸の連結(タンパク合成)に関わるリボソームRNA(rRNA)である。
  • これ以降は、これらのRNAによってタンパク質が合成される過程を確認する。
  • タンパク質の合成は「転写」と「翻訳」の二段階で行われる。

転写

  • DNAからRNAを合成する過程を転写という。
  • この過程はDNA複製と同様の仕組みで、相補的な塩基対を形成することによって行われる。
  • ただし、DNA上のアデニン(A)と対応するRNA上の塩基はウラシル(U)である(RNAではチミン(T)の代わりにウラシル(U)が存在する)。

翻訳

  • RNAには3種類存在する。
mRNAtRNArRNA
合成するタンパク質の情報をDNAから写し取った1本鎖のRNAmRNAの情報に従って、指定されたアミノ酸を運んでくる1本鎖のRNAタンパク質とともにリボソームを構成する1本鎖のRNA。リボソームは細胞内のタンパク合成の場となる
  • 転写によってDNAから作られるRNA(つまりタンパク質の設計図(DNA)のコピー)を伝令RNA(mRNA)という。その設計図にしたがってアミノ酸を運んでくるRNAを運搬RNA(tRNA)、tRNAが運んできた材料(アミノ酸)を使ってタンパク質を合成するRNAをリボソームRNA(rRNA)という。
  • mRNA、tRNA、rRNAを使ったタンパク質合成の過程を翻訳という。
  • 翻訳の流れは次の通りである。

●STEP1
伝令RNA(mRNA)がタンパク合成の場であるリボソームに結合する
●STEP2
運搬RNA(tRNA)がmRNAの塩基配列を3つずつ読み、対応したアミノ酸を運んでくる
●STEP3
リボソームがmRNAの上を移動しながら、tRNAが運んできたアミノ酸をつなげ、タンパク質を合成する

STEP
伝令RNA(mRNA)がタンパク合成の場であるリボソームに結合する

まず、伝令RNA(mRNA)がタンパク合成の場であるリボソームに結合する。

STEP
運搬RNA(tRNA)がmRNAの塩基配列を3つずつ読み、対応したアミノ酸を運んでくる

RNAに含まれる塩基はアデニン(A)・グアニン(G)・シトシン(C)・ウラシル(U)の4種類である。
3つの塩基の組からなる配列で1つのアミノ酸を指定する(この3つの塩基の組をコドンという)ため、運搬RNA(tRNA)がmRNAの塩基配列を3つずつ読み、対応したアミノ酸を運んでくる。

STEP
リボソームがmRNAの上を移動しながら、tRNAが運んできたアミノ酸をつなげ、タンパク質を合成する

最後に、リボソームがmRNAの上を移動しながら、tRNAが運んできたアミノ酸をつなげ、タンパク質を合成する。


セントラルドグマ

  • DNA複製・タンパク質合成の流れを図示すると次のようになる。
  • 大量に複製されたDNAからRNAを合成し、RNAからタンパク質がつくられる。
  • この流れは1958年に英国の分子生物学者クリックによって提唱され、セントラルドグマとよばれている。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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