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ハロゲン単体の反応(酸化力・水素・水など)
目次
はじめに
【プロ講師解説】このページでは『ハロゲン単体の反応(酸化力・水素・水など)』について解説しています。
ハロゲン単体の酸化力の強さを調べる実験
- あるハロゲン化物イオンXーが含まれる水溶液に、別のハロゲンの単体Y2を加える。
- このとき、もしY2がX2よりも陰イオンになりやすければ、つまりY2の酸化力がX2よりも強ければ、Y2が電子を受け取ってYーとなり、Xーが電子を放出してX2となる。
\[ \mathrm{2X^{-}+Y_{2}→X_{2}+2Y^{-}} \]
- この理論の正確性を確かめるために実際に実験をしてみると、次のような反応が起こるのを確認できる。
\[ \begin{align}&\mathrm{2Cl^{-}+F_{2}→Cl_{2}+2F^{-}・・・①}\\
&\mathrm{2Br^{-}+Cl_{2}→Br_{2}+2Cl^{-}・・・②}\\
&\mathrm{2I^{-}+Br_{2}→I_{2}+2Br^{-}・・・③}\end{align} \]
- この実験から、ハロゲンの単体の酸化力に関して、①式からF2>Cl2であることが、②式からCl2>Br2であることが、③式からBr2>I2であることがわかった。結論としてハロゲンの単体の酸化力は次の通りになる。
\[ \mathrm{F_{2}>Cl_{2}>Br_{2}>I_{2}} \]
- 周期表(覚え方・語呂合わせ・族や周期の見方など)にあるように、周期表上で上にある元素ほど電気陰性度が大きいため、その点からも電子を受け取る力=酸化力がこのようになるのは理解できるはずである。
ハロゲンの単体と水素の反応
- 酸化力の大きいハロゲンの単体ほど水素H2と激しく反応する。
\[ \begin{align}&\mathrm{H_{2}+F_{2}→2HF(爆発的)}\\
&\mathrm{H_{2}+Cl_{2}→2HCl(光照射で爆発的)}\\
&\mathrm{H_{2}+Br_{2}⇄2HBr}\\
&\mathrm{H_{2}+I_{2}⇄2HI} \end{align}\]
ハロゲンの単体と水の反応
- 酸化力の大きいハロゲンの単体ほど水H2Oと激しく反応する。ヨウ素I2はほとんど反応しない。
\[ \begin{align}&\mathrm{2H_{2}O+2F_{2}→O_{2}+4HF・・・(※)}\\
&\mathrm{H_{2}O+Cl_{2}→HCl+HClO}\\
&\mathrm{H_{2}O+Br_{2}⇄HBr+HBrO}\\
&\mathrm{I_{2}はほとんど反応しない} \end{align}\]
- フッ素F2は非常に酸化力が強いため水から電子eーを奪う。
\[ \begin{align}&\mathrm{F_{2}+2e^{-}→2F^{-}・・・①}\\
&\mathrm{2H_{2}O→O_{2}+4H^{+}+4e^{-}・・・②} \end{align}\]
- ①式×2+②式で(※)式の化学反応式をつくることができる。フッ素を水に通じると酸素O2が発生するというのは必ず覚えておこう。
- ちなみに、塩素Cl2・臭素Br2と水との反応は自己酸化還元反応の1種である。
- 参考:自己酸化還元反応(原理・例・反応式など)
- ヨウ素は水と反応しにくく、また無極性分子のため水にはほとんど溶けない。
- しかし、ヨウ化カリウムKI水溶液には、次の反応により三ヨウ化物イオンI3ーを形成して溶けることができる(この反応は酸化還元反応ではない)。
\[ \mathrm{I_{2}+KI→KI_{3}} \]