化合物の保存・取り扱い方法

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『化合物の保存・取り扱い方法』について解説しています。


保存法一覧

  • 保存法に注意が必要である代表的な物質を次に示す。
化合物保存法・注意点
黄リン黄リンは空気中で自然発火することがあるため、水中で保存する。(同素体である赤リンは自然発火しない)
また、空気中で黄リンが燃焼すると十酸化四リンが生じる。
同素体について詳しくは同素体・同位体(違い・例・硫黄・炭素・酸素・リンなど)を参照
アルカリ金属
(Na,Li)
アルカリ金属(Na,Li)は、酸素O2や水H2Oと反応するので、石油中に保存する。
アルカリ金属について詳しくはアルカリ金属(1族)の単体・化合物の性質や製法を参照
アルカリ土類金属
(Ca)
アルカリ土類金属(Ca)は、常温で水H2Oと反応し水素を発生するので、水中に保存してはいけない。
アルカリ土類金属について詳しくはアルカリ土類金属(2族)の単体・化合物の性質や製法を参照
水酸化ナトリウム

水酸化カリウム
水酸化ナトリウムと水酸化カリウムは潮解性(空気中の水分を吸う性質)があるため、湿気を避けて保存する。
また、この潮解性ゆえに、実験を行う際には「手早く行い」「手に付いた場合にはすぐに大量の水で洗い流す」などの注意が必要である。
濃硝酸濃硝酸は、光が当たると二酸化窒素NO2と酸素O2に分解する。したがって、褐色ビンに入れて暗所で保存する。
ハロゲン化銀ハロゲン化銀は、光と反応して単体の銀を析出する。したがって、褐色ビンに入れて保存する。
また、ハロゲン化銀は「光と反応して単体の銀を析出する」という性質を利用して、写真フィルムの感光材に用いられるということも知っておこう。
ハロゲンについて詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照
フッ化水素酸フッ化水素酸は、弱酸でありガラスの主成分の二酸化ケイ素SiO2を溶かしてしまうため、ガラス瓶中に保存できない。
したがって、ポリエチレンなどのガラス以外の容器に保存する。
また、フッ化水素酸は腐食性が強いので、扱う際にはゴム手袋を着用するということも押さえておこう。

取り扱い法一覧

  • 取り扱い法に注意が必要である代表的な物質を次に示す。
化合物取り扱い法・注意点
水素可燃性なので、しっかり換気をし、火気を避けて扱う。
アセトン揮発性で引火しやすいので、火気を避けて取り扱う。
濃硫酸濃硫酸に水を入れると、突沸を起こし周りに液体が飛び散る恐れがある。
したがって、濃硫酸の希釈を行う際は「水に硫酸を加える」という方法で行う。
重金属イオン重金属イオンは生物に有害であるため、流しには捨てずに、別の容器(廃液入れ)に入れる。
硫化水素 / 塩素硫化水素や塩素は呼吸器系や目に有害であるため、常に換気を行いながら取り扱う。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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