【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答を掲載しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。一問一答コンテンツ一覧は化学のグルメ『高校化学・化学基礎一問一答コンテンツ一覧』をご覧下さい。

一問一答

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

タンパク質を構成するポリペプチド鎖のアミノ酸の結合順序を【1】構造という。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】一次

タンパク質を構成するポリペプチド鎖のアミノ酸の結合順序一次構造という。
一次構造では共有結合で結ばれたペプチド鎖の状態を問題にし、ペプチド結合の加水分解などを行ってその分析が行われる。

※タンパク質の構造について詳しくはタンパク質の一次構造・二次構造(αヘリックス/βシート)・三次構造・四次構造を参照

問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

ペプチド鎖中のペプチド結合同士が水素結合により、局部的に一定な構造を取ることがある。
これをタンパク質の【1】構造という。
【1】構造には、【2】構造と【3】構造の2種類が存在する。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】二次【2】α-ヘリックス【3】β-シート(【2】・【3】は順不同)

ペプチド鎖において、近くにあるペプチド結合同士が水素結合を形成して、局部的に一定な構造を取る。
これをタンパク質の二次構造という。

二次構造にはα-ヘリックス構造とβ-シート構造の2種類が存在する。

※α-ヘリックス構造

※β-シート構造

※タンパク質の構造について詳しくはタンパク質の一次構造・二次構造(αヘリックス/βシート)・三次構造・四次構造を参照

問3

【】に当てはまる用語を答えよ。

タンパク質のペプチド鎖は多くの場合、【1(右or左)】巻きらせん構造をとる。
このらせん構造を【2】構造という。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:【1】右【2】α-ヘリックス

タンパク質のペプチド鎖は多くの場合、右巻きらせん構造をとる。このらせん構造をα-ヘリックス構造という。
一巻き3.6コのアミノ酸単位からなり、4番目ごとのアミノ酸単位のN-HとC=Oとの間で水素結合を形成して安定化している。
α-ヘリックス構造では、全てのN-HとC=Oが水素結合するために非常に安定となるので、タンパク質はこの構造を取りやすい。

※タンパク質の構造について詳しくはタンパク質の一次構造・二次構造(αヘリックス/βシート)・三次構造・四次構造を参照

問4

【】に当てはまる用語を答えよ。

三次元的な空間配置まで含めた分子鎖全体の構造を【1】構造という。
【1】構造を安定化させている結合のうち最も強い結合は【2】である。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:【1】三次【2】ジスルフィド結合(S-S結合)

ポリペプチド鎖が各所でα-ヘリックス構造、β-シート構造などの二次構造を形成し、それらが不規則なペプチド鎖で繋がっている場合、比較的離れたアミノ酸単位同士の「相互作用」により全体が折りたたまれた一定の構造をとるようになる。
このような三次元的な空間配置まで含めた分子鎖全体の構造を三次構造という。

特定の一次構造をもつポリペプチド鎖がとり得る構造は無限に思えるかもしれないが、実際は1つの一次構造から生じる三次構造は1種類しかない。
これは、ペプチド鎖の各部位における一次構造がそれぞれの部分でどのような二次構造をとるかを決め、さらにその二次構造における側鎖の分布をも決定するためである。

折りたたまれた三次構造を安定化させている”結合”は、ジスルフィド結合(S-S結合)・イオン結合・水素結合・疎水結合の4種類存在する。これらのうち最も強い結合はジスルフィド結合である。

※タンパク質の構造について詳しくはタンパク質の一次構造・二次構造(αヘリックス/βシート)・三次構造・四次構造を参照

問5

【】に当てはまる用語を答えよ。

ジスルフィド結合はタンパク質を構成しているアミノ酸に【1】が含まれるときに形成される。
三次構造を支える各種結合の中で唯一の【2】結合であり、最も【3(強or弱)】い結合である。
【問5】解答/解説:タップで表示
解答:【1】システイン【2】共有【3】強

タンパク質を構成しているアミノ酸にシステインが含まれるとき、その側鎖Rには-S-Hが存在する。
-S-H同士は酸化還元反応によりジスルフィド結合-S-S-を形成することができる。
この結合は、三次構造をつくる結合の中で唯一の共有結合であり、最も強い結合である。

※タンパク質の構造について詳しくはタンパク質の一次構造・二次構造(αヘリックス/βシート)・三次構造・四次構造を参照

問6

【】に当てはまる用語を答えよ。

側鎖にある【1(極or無極)】性で【2(親水or疎水)】性の炭化水素基やベンゼン環などは、水との接触ができる限り【3(多or少な)】くなるように連結する。
これを【4】結合と呼び、この結合は疎水基の数が【5(多or少な)】くなるほど強力な結合となる。
【問6】解答/解説:タップで表示
解答:【1】無極【2】疎水【3】少な【4】疎水【5】多

側鎖にある無極性で疎水性の炭化水素基やベンゼン環などは、水との接触ができる限り少なくなるように連結する。これを疎水結合と呼び、この結合は疎水基の数が多くなるほど強力な結合となる。

※タンパク質の構造について詳しくはタンパク質の一次構造・二次構造(αヘリックス/βシート)・三次構造・四次構造を参照

問7

【】に当てはまる用語を答えよ。

三次構造を形成したポリペプチド鎖が複数個会合して、1つの分子になる場合がある。
このような分子内でのポリペプチド鎖の配列を【1】構造という。このとき、各ポリペプチド鎖は【2】と呼ばれる。
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解答:【1】四次【2】サブユニット

三次構造を形成したポリペプチド鎖が複数個会合して、1つの分子になる場合がある。
このような分子内でのポリペプチド鎖の配列を四次構造という。この構造において、各ポリペプチド鎖はサブユニットと呼ばれている。
四次構造の具体例としてはヘモグロビンがよく挙げられる。

ヘモグロビンは4つのサブユニット(α鎖2つ・β鎖2つ)からなり、それらの立体配座を変えることによりO2の結合力を調節している。(酸素分圧が大きい肺ではO2との結合力が高まり、酸素分圧の低い組織系では結合力が弱まりO2を放出しやすくなる)

※タンパク質の構造について詳しくはタンパク質の一次構造・二次構造(αヘリックス/βシート)・三次構造・四次構造を参照

問8

【】に当てはまる用語を答えよ。

アミノ酸のみからなるタンパク質を【1】、アミノ酸の他に糖類やリン酸、核酸、色素などを含むタンパク質を【2】という。
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解答:【1】単純タンパク質【2】複合タンパク質

アミノ酸のみからなるタンパク質を単純タンパク質、アミノ酸の他に糖類やリン酸、核酸、色素などを含むタンパク質を複合タンパク質という。

※タンパク質の分類について詳しくは【タンパク質の分類】単純/複合/球状/繊維状タンパク質の違いなどを参照

問9

【】に当てはまる用語を答えよ。

ポリペプチド鎖が折りたたまれ、球状になったタンパク質を【1】という。
【1】は親水基を【2(外or内)】側に、疎水基を【3(外or内)】側に向けているため、【4(親水or疎水)】コロイドであり、水に溶け【5(やすorにく)】い。
一方、複数のポリペプチド鎖が絡み合い、束になっているタンパク質を【6】という。
【6】は水に溶け【7(やすorにく)】く、皮膚や髪などの形成に役立っている。
皮膚に含まれる【6】は【8】、髪に含まれる【6】は【9】と呼ばれる。
【問9】解答/解説:タップで表示
解答:【1】球状タンパク質【2】外【3】内【4】親水【5】やす【6】繊維状タンパク質【7】にく【8】コラーゲン【9】ケラチン

ポリペプチド鎖が折りたたまれ球状になったタンパク質を球状タンパク質という。
球状タンパク質は親水コロイドであり、親水基を外側に、疎水基を内側に向けているため比較的水に溶けやすい。
したがって、生体内で生命活動を維持する働きを担っている。
具体例としては、血中に多く含まれるアルブミンや唾液中に存在するアミラーゼなどが挙げられる。

一方、複数のポリペプチド鎖が絡み合い束になっているタンパク質を繊維状タンパク質という。
繊維状タンパク質は水に溶けにくく、皮膚や髪などの形成に役立っている。
皮膚に含まれる繊維状タンパク質はコラーゲン、髪に含まれる繊維状タンパク質はケラチンと呼ばれる。

※タンパク質の分類について詳しくは【タンパク質の分類】単純/複合/球状/繊維状タンパク質の違いなどを参照

問10

【】に当てはまる用語を答えよ。

加熱等によりタンパク質の立体構造が不可逆的に変化して機能が失われることをタンパク質の【1】という。
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解答:【1】変性

タンパク質中の水素結合やジスルフィド結合が切れると、立体構造が不可逆的に変化してタンパク質としての機能が失われる。これをタンパク質の変性という。

※タンパク質の変性について詳しくはタンパク質の変性(例・理由・原理など)を参照

問11

【】に当てはまる用語を答えよ。

α-アミノ酸やタンパク質にニンヒドリン試薬を加えて加熱すると赤紫〜青紫色になる。
この反応を【1】という。
【問11】解答/解説:タップで表示
解答:【1】ニンヒドリン反応

α-アミノ酸やタンパク質にニンヒドリン試薬を加えて加熱すると赤紫〜青紫色になる。
この反応をニンヒドリン反応という。

ニンヒドリンはアミノ酸のアミノ基(-NH2)と反応し、複雑な紫色の化合物が生じる。
この反応は指紋の検出などに用いられている。

※タンパク質の検出反応について詳しくは【アミノ酸/タンパク質】検出反応を総まとめ(ビウレット/キサントプロテイン/ニンヒドリン/硫黄)を参照

問12

【】に当てはまる用語を答えよ。

ペプチド結合を2つ以上もつペプチドに水酸化ナトリウム水溶液、硫酸銅(Ⅱ)水溶液を順に加えると【1】色になる。この反応を【2】という。
【問12】解答/解説:タップで表示
解答:【1】赤紫【2】ビウレット反応

ペプチド結合を2つ以上もつペプチドに水酸化ナトリウム水溶液、硫酸銅(Ⅱ)水溶液を順に加えると赤紫色になる。
この反応をビウレット反応という。

赤紫色はペプチドがCu2+と配位結合して形成された錯イオンによるものである。

※タンパク質の検出反応について詳しくは【アミノ酸/タンパク質】検出反応を総まとめ(ビウレット/キサントプロテイン/ニンヒドリン/硫黄)を参照

問13

【】に当てはまる用語を答えよ。

芳香環をもつアミノ酸(タンパク質)に濃硝酸を加えると【1】色になり、そこにアンモニア水を加えると【2】色になる。この反応を【3】という。
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解答:【1】黄【2】橙【3】キサントプロテイン反応

チロシンやフェニルアラニンなどの芳香環(ベンゼン環など)をもつアミノ酸(タンパク質)に濃硝酸を加えると黄色になり、そこにアンモニア水を加えると橙色になる。この反応をキサントプロテイン反応という。

黄色になるのは芳香環がニトロ化されるため、橙色になるのは塩基により側鎖の電離状態が変化するためである。

※タンパク質の検出反応について詳しくは【アミノ酸/タンパク質】検出反応を総まとめ(ビウレット/キサントプロテイン/ニンヒドリン/硫黄)を参照

問14

【】に当てはまる用語を答えよ。

システインのような側鎖に【1】原子を含むアミノ酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し、それを酢酸で中和して酢酸鉛(Ⅱ)水溶液を加えると、【2】の【3】色沈殿が生じる。
【問14】解答/解説:タップで表示
解答:【1】硫黄S【2】硫化鉛(Ⅱ)PbS【3】黒

システインのような側鎖に硫黄S原子を含むアミノ酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し、酢酸鉛(Ⅱ)水溶液を加えると、硫化鉛(Ⅱ)PbSの黒色沈殿が生じる。

殆どのタンパク質には硫黄を含むアミノ酸(システイン/メチオニン)が含まれているので、タンパク質の検出反応として用いられる。又、硫化水素H2Sなどもこの反応に対して陽性を示す。

※タンパク質の検出反応について詳しくは【アミノ酸/タンパク質】検出反応を総まとめ(ビウレット/キサントプロテイン/ニンヒドリン/硫黄)を参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細