【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答を掲載しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。一問一答コンテンツ一覧は化学のグルメ『高校化学・化学基礎一問一答コンテンツ一覧』をご覧下さい。

一問一答

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

常温常圧時の状態
F2 【1】色 【2】
Cl2 【3】色 【4】
Br2 【5】色 【6】
I2 【7】色 【8】
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:以下参照
状態
F2 淡黄色 気体
Cl2 黄緑色 気体
Br2 赤褐色 液体
I2 黒紫色 固体

※ハロゲンについて詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問2

F2,Cl2,Br2,I2を沸点の高い順に並べよ。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:I2>Br2>Cl2>F2

※ハロゲンについて詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問3

F2,Cl2,Br2,I2を酸化力の高い順に並べよ。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:F2>Cl2>Br2>I2

酸化力は電気陰性度が高い順に大きくなる。

※ハロゲンについて詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問4

次のうち反応が起こるのはどちらか。

①F2 + 2HCl →
②Br2 + 2HCl →

【問4】解答/解説:タップで表示
解答:①

まず、上の式について考える。
FとClの電気陰性度を比べると、Fの方が大きい。したがって、Fの方が「酸化力=電子eを奪う力」が強いということになる。

Fの方がeを奪う力が強いのに、Fが分子でClがイオン(eが多い状態)になっているのはおかしいので、F2がClからeを奪って次のような反応が起こる。

\[
F_{2}+2Cl^{-}→Cl_{2}+2F^{-}
\]

次に、下の式について。

BrとClの酸化力を比べると(より電気陰性度の大きい)Clの方が強い。
したがって、Br2がClからeを奪い取ることはなく、反応は起こらない。

\[
Br_{2}+2Cl^{-}→×
\]

※ハロゲン同士の反応について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問5

【】に当てはまる用語を答えよ。

F2,Cl2,Br2,I2のうち、低温や暗所であってもH2と爆発的に反応するのは【1】である。

【問5】解答/解説:タップで表示
解答:【1】F2
ハロゲン 反応
フッ素 低温・暗所でも爆発的に反応
塩素 常温でも光を当てることで爆発的に反応
臭素 高温で触媒を使うと反応
ヨウ素 高温で触媒を使うと一部が反応

ハロゲンの単体と水素H2との反応でも、ポイントは”酸化力”である。

F2は酸化力が高いため、低温や暗所であってもH2と爆発的に反応する。

\[
H_{2} + F_{2} → 2HF
\]

また、F2の次に酸化力の強いCl2は(低温や暗所では難しいものの)常温で光を当てれば反応する。

\[
H_{2} + Cl_{2} → 2HCl
\]

Br2やI2は酸化力が低いため、高温下で触媒を使う必要がある。

\[
H_{2} + Br_{2} \overset{触媒}{→} 2HBr\\
H_{2} + I_{2} \overset{触媒}{→} 2HI
\]

※ハロゲン同士の反応について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問6

【】に当てはまる用語を答えよ。

F2,Cl2,Br2,I2のうち、水H2Oに溶けないのは【1】である。

【問6】解答/解説:タップで表示
解答:【1】I2
ハロゲン 反応
フッ素 激しく反応する
塩素 少し溶けて塩素水になる
臭素 少し溶けて臭素水になる
ヨウ素 溶けない

先ほどから書いているように、フッ素は酸化力が極めて高いため、水H2Oとも激しく反応する。

\[
2F_{2} + 2H_{2}O → 4HF + O_{2}
\]

塩素は、水に少しだけ溶けて塩素水となる。(塩素の一部はH2Oと次のように反応)

\[
Cl_{2} + H_{2}O → HCl + HClO
\]

このとき、HClに含まれるClの酸化数は「-1」、HClOに含まれるClの酸化数は「+1」になっている。(酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照)

つまり、Cl2のうち、片方のClは酸化されていて、もう片方のClは還元されている。このような反応を自己酸化還元反応といい、詳しくは自己酸化還元反応(原理・例・反応式など)で解説しているので必ず確認しておこう。

また、このとき発生したHClOは酸化力があり、漂白・殺菌作用をもつということも併せて覚えておくとgood。

臭素も塩素同様に自己酸化還元反応を起こすが、その反応性は塩素より低い。

\[
Br_{2} + H_{2}O → HBr + HBrO
\]

I2は常温常圧で固体であり、分子結晶を形成しているので基本的に水には溶けない。

ただし、ヨウ化カリウムKI水溶液ではIと反応してI3となり、褐色の溶液になって溶解する。

\[
I^{-} + I_{2} ⇄ I_{3}^{-}(褐)
\]

※ハロゲン同士の反応について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問7

【】に当てはまる用語を答えよ。

塩素の単体Cl2を工業的に作る際は、NaOHの工業的製法である【1】を用いる。

【問7】解答/解説:タップで表示
解答:【1】陽イオン交換膜法

塩素の単体Cl2を工業的に作る際は、NaOHの工業的製法である陽イオン交換膜法を用いる。

※陽イオン交換膜法について詳しくは【陽イオン交換膜法】水酸化ナトリウムの製法の仕組みや反応式などを参照

問8

【】に当てはまる用語を答えよ。

ハロゲンと水素から成る化合物を【1】という。

【問8】解答/解説:タップで表示
解答:【1】ハロゲン化水素

ハロゲンと水素から成る化合物をハロゲン化水素という。

※ハロゲン化水素について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問9

HF,HCl,HBr,HIを酸として強い順に並べよ。
【問9】解答/解説:タップで表示
解答:HI > HBr > HCl > HF
Point!

ハロゲン化水素のうち、フッ化水素HFだけは弱酸、その他は強酸となっている。

※ハロゲン化水素について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問10

【】に当てはまる用語を答えよ。

ハロゲン化水素のうち【1】だけは弱酸、その他は強酸である。

【問10】解答/解説:タップで表示
解答:【1】フッ化水素HF
Point!

ハロゲン化水素のうち、フッ化水素HFだけは弱酸、その他は強酸となっている。

※ハロゲン化水素について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問11

【】に当てはまる用語を答えよ。

ハロゲン化物イオンと銀イオンの反応は生成物の色が特徴的で、AgClは【1】色、AgBrは【2】色、AgIは【3】色である。

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解答:【1】白【2】淡黄【3】黄
Ag+ + F → AgF
Ag+ + Cl → AgCl(白)
Ag+ + Br → AgBr(淡黄)
Ag+ + I → AgI(黄)
Point!

ハロゲン化物イオンと銀イオンの反応は、生成物の色が特徴的で出題されやすい。

※無機化学で頻出の色については無機化学の色まとめ(イオン/化合物(沈殿)/ハロゲンなど)を参照
※ハロゲン化水素について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問12

【】に当てはまる用語を答えよ。

ハロゲン化物イオンのうち、【1】のみCa2+と反応して【2】として沈殿する。

【問12】解答/解説:タップで表示
解答:【1】フッ化物イオンF【2】フッ化カルシウムCaF2

ハロゲン化物イオンのうち、フッ化物イオンのみCa2+と反応してフッ化カルシウムCaF2として沈殿する。

\[
Ca^{2+} + 2F^{-} → CaF_{2}
\]

※ハロゲン化水素の反応について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問13

【】に当てはまる用語を答えよ。

フッ化水素の水溶液であるフッ化水素酸は、【1】(主成分:SiO2)を溶解させる。

【問13】解答/解説:タップで表示
解答:【1】ガラス

フッ化水素HFの水溶液であるフッ化水素酸は、ガラス(主成分:SiO2)を溶解させる。

\[
SiO_{2} + 6HF → H_{2}SiF_{6} + 2H_{2}O
\]

※ハロゲン化水素の反応について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問14

【】に当てはまる用語を答えよ。

HClを実験室で作る際は塩化ナトリウムNaClに【1】を加えて加熱する。

【問14】解答/解説:タップで表示
解答:【1】濃硫酸H2SO4

塩化水素HClを実験室で作る際は塩化ナトリウムNaClに濃硫酸H2SO4を加えて加熱する。

\[
NaCl + H_{2}SO_{4} → NaHSO_{4} + HCl
\]

この反応は揮発性酸遊離反応の一種である。

※揮発酸遊離反応について詳しくは揮発性酸遊離反応(原理・例・濃硫酸を使う理由など)を参照
※ハロゲン化水素の反応について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

問15

【】に当てはまる用語を答えよ。

酸素O原子を含む酸を【1】という。塩素はこの【1】の種類が多く、塩素酸HClO3を基準として、酸素が1コ多いものを【2】、1コ少ないものを【3】、2コ少ないものを【4】という。酸としての強さは【5】が最も強い。

【問15】解答/解説:タップで表示
解答:【1】オキソ酸【2】過塩素酸HClO4【3】亜塩素酸HClO2【4】次亜塩素酸HClO【5】過塩素酸HClO4

塩素酸を基準として、酸素が1コ多いものを過塩素酸、1コ少ないものを亜塩素酸、2コ少ないものを次亜塩素酸という。

酸としての強さは過塩素酸が最も高く、酸化力はいずれのオキソ酸ももっている。

※オキソ酸について詳しくはオキソ酸(例・酸化力・一覧・強さ・構造・酸化数など)を参照
※ハロゲン化水素の反応について詳しくはハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法を参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細