二段滴定を攻略!原理から例題を使った計算問題の解き方まで徹底解説!

はじめに

中和滴定の一種である二段滴定。原理や計算が複雑で苦手とする高校生が極めて多い。このページではその二段滴定について、仕組みや入試頻出の計算問題の解法を例を使って1つ1つ丁寧に解説していこうと思う。ぜひこの機会に二段滴定をマスターしてライバルと差をつけよう!


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二段滴定とは

二段階で行う中和滴定
Point!

2価の酸や塩基には、中和点が2コあるということを利用した中和滴定を二段滴定という。

今回は、比較的簡単な「Na2CO3のHClによる二段滴定」と大学入試で頻出の「Na2CO3とNaOHの混合液のHClによる二段滴定」の2つを例に説明していこう。


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炭酸ナトリウムの塩酸による二段滴定

炭酸ナトリウムNa2CO3の塩酸HClによる二段滴定の滴定曲線は次の通り。STARTの位置から順を追って解説していこう。

スタート時

炭酸ナトリウムNa2CO3(弱酸+強塩基から生じる塩)の水溶液は強塩基性なので、pHは12より少し上あたり。

中和点に達する

塩酸HClを滴下すると徐々にpHが低下し、やがて第一中和点に達する。ここまでの段階(第一段階と呼ぶ)では次のような反応が起こっている。

\[
\mathrm{ Na_{2}CO_{3} + HCl → NaHCO_{3} + NaCl }
\]

炭酸ナトリウムNa2CO3は段階的に中和される。つまり、一気に炭酸H2CO3になることはなく、一旦炭酸水素ナトリウムNaHCO3に変化するに留まる。また、強塩基性の水溶液に強酸を加えるので本来中和点はpH=7付近になるはずだが、この滴定の場合(水溶液中で電離して弱塩基性を示す)NaHCO3が生じるので若干塩基性よりのpH=8くらいになる。

さらに塩酸を滴下

さらに塩酸HClを滴下していくと、第二中和点に達する。ここまでの段階(第二段階と呼ぶ)では次のような反応が起こっている。

\[
\mathrm{ NaHCO_{3} + HCl → NaCl + H_{2}CO_{3}(H_{2}O + CO_{2}) }
\]

第二段階では、第一段階で生じたNaHCO3が反応する。このとき生成したH2CO3はすぐにH2OとCO2に分解すること、弱塩基性の水溶液に強酸を加えているので中和点のpHは酸性に偏ることは押さえておこう。

また、第一段階と第二段階の反応式を一度に見ると…

全ての物質の係数が1になっているので、(係数比=mol比であることを考慮すると)1molのNa2CO3を二段滴定する場合、第一段階で1mol、第二段階で1molのHClを消費する。つまり、第一段階で滴下するHClの量(v1)と第二段階で滴下するHClの量(v2)は等しいということだね。


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炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合液の塩酸による二段滴定

次に、大学入試で頻出の「Na2CO3とNaOHの混合液のHClによる二段滴定」について解説していこう。

基本的に炭酸ナトリウムNa2CO3は上で紹介した二段滴定と変わらない反応をする。

第一段階(第1中和点に達するまでの段階)では、炭酸ナトリウムNa2CO3が炭酸水素ナトリウムNaHCO3に変化する。

\[
\mathrm{ Na_{2}CO_{3} + HCl → NaHCO_{3} + NaCl }
\]

第二段階(第2中和点に達するまでの段階)では、炭酸水素ナトリウムNaHCO3が炭酸H2CO3に変化する。

\[
\mathrm{ NaHCO_{3} + HCl → NaCl + H_{2}CO_{3}(H_{2}O + CO_{2}) }
\]

対して、新しく登場した水酸化ナトリウムNaOHは第一段階で次のように反応する。

\[
\mathrm{ NaOH + HCl → NaCl + H_{2}O }
\]

以上より、第一段階、第二段階の反応をまとめると次のようになる。

ちなみに、第一段階の2つの反応は「NaOHとHClの反応」が先に起こる。これは(NaOHが電離して生成する)OHと(Na2CO3が電離して生成する)CO32-を比較して、OHの方が(HClが電離して生成する)H+を受け取りやすいからである。つまり、より酸と反応しやすい塩基がNaOHだということだね。

以上の事項を滴定曲線で表すと次のようになる。

滴定曲線中において、NaOHの滴定に使用したHClの量はv0、v0とv1を合わせたものをvと表している。第一段階でNa2CO3よりも先にNaOHが反応していること、(「Na2CO3のHClによる二段滴定」で説明したように)v1とv2の量が等しくなっていることを確認しよう。


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二段滴定の計算問題

問題

炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液がある。まず、混合溶液20mLにフェノールフタレイン(変色域:pH 8.3~10)を加え、0.10(mol/L)の希塩酸で滴定したところ、終点までに30mLの希塩酸を要した。次に、この滴定後の溶液にメチルオレンジ(変色域:pH 3.1~4.4)を加え、同じ希塩酸で滴定を続けたところ、終点までにさらに10mLの希塩酸を要した。最初の時点で混合溶液に含まれる炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムのモル濃度(mol/L)を、それぞれ求めなさい。

(1)一回目の中和点までに起こる反応の化学反応式を書け。
(2)二回目の中和点までに起こる反応の化学反応式を書け。
(3)最初の時点で混合溶液に含まれる炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムのモル濃度(mol/L)を、それぞれ求めよ。

(1)

第一段階で起こる反応は次の2つである。

\[
NaOH + HCl → NaCl + H_{2}O \cdots (1)
\]
\[
Na_{2}CO_{3} + HCl → NaHCO_{3} + NaCl \cdots (2)
\]

上で説明したように、2つのうち「NaOHとHClの反応」が先に起こる。これは(NaOHが電離して生成する)OHと(Na2CO3が電離して生成する)CO32-を比較して、OHの方が(HClが電離して生成する)H+を受け取りやすいからである。つまり、より酸と反応しやすい塩基がNaOHだということだね。

(2)

第二段階では次の反応が起こる。

\[
NaHCO_{3} + HCl → NaCl + H_{2}CO_{3}(H_{2}O + CO_{2}) \cdots (3)
\]

生成したH2CO3はできた後すぐにH20とCO2に分解する。


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(3)

問題文で与えられている数値を上の滴定曲線に当てはめると…

\[
v=30mL \\ v_{2}=10mL
\]

となる。また、v=v0+v1,v1=v2の関係があるため、次のことがわかる。

\[
(2)式で反応した塩酸 \\ v_{1}=v_{2}=10mL \\
(1)式で反応した塩酸 \\ v_{0}=v-v_{1}=30-10mL=20mL
\]

混合溶液中のNaOHのモル濃度をc(mol/L)とし、(1)式のNaOHとHClについて中和計算をすると…

\[
\underbrace{c(mol/L)×\frac{ 20 }{ 1000 }(L) }
_{ \text{ NaOHのmol }}
=
\underbrace{0.10(mol/L)×\frac{ 20 }{ 1000 }(L) }
_{ \text{ HClのmol }} \\
↔︎c=0.10(mol/L)
\]

また、混合液中のNa2CO3のモル濃度をc'(mol/L)とし、(2)式のNa2CO3とHClについて中和計算をすると…

\[
\underbrace{c'(mol/L)×\frac{ 20 }{ 1000 }(L) }
_{ Na_{2}CO_{3}\text{のmol }}
=
\underbrace{0.10(mol/L)×\frac{ 10 }{ 1000 }(L) }
_{ \text{ HClのmol }} \\
↔︎c’=0.050(mol/L)
\]
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関連:中和滴定は主に3種類。

二段滴定の他に、通常の中和滴定と逆滴定の原理・計算問題の解法は必ず押さえておくようにしよう。

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