気体反応の法則(例・発見者・演習問題など)

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はじめに

【プロ講師解説】このページでは『気体反応の法則(例・発見者・演習問題など)』について解説しています。


気体反応の法則

  • 気体同士が反応したり、反応によって気体が生成するとき、それらの気体の体積間には簡単な整数比が成り立つ。この法則を気体反応の法則という。
  • 例として、①水素と窒素によるアンモニアの生成反応、②一酸化炭素と酸素による二酸化炭素の生成反応、③水素と塩素による塩化水素の生成反応を見ていこう。

① 水素と窒素によるアンモニアの生成反応

  • 水素H2と窒素N2を反応させるとアンモニアNH3が生成する。

\[ \mathrm{3H_{2}+N_{2}→2NH_{3}} \]

  • このとき、H2、N2、NH3の3つの気体間には、次のようなmol比が成り立つ。

\[ \underbrace{ \mathrm{3H_{2}} }
_{ \text{ 3(mol) }}
+
\underbrace{ \mathrm{N_{2}} }
_{ \text{ 1(mol) }}

\underbrace{ \mathrm{2NH_{3} }}
_{ \text{ 2(mol) }} \]

化学反応式(係数・作り方・書き方・計算問題の解き方など)にあるように、mol比は化学反応式の係数比と一緒になる。

  • ここで、標準状態における気体1molあたりの体積が22.4(L/mol)であることを考えると、各気体の体積(L)が簡単な整数比になっているのがわかる(3:1:2)。

\[ \underbrace{ \mathrm{3H_{2}} }
_{ \text{ 3(mol)×22.4(L/mol)=67.2(L) }}
+
\underbrace{ \mathrm{N_{2}} }
_{ \text{ 1(mol)×22.4(L/mol)=22.4(L) }}

\underbrace{ \mathrm{2NH_{3}} }
_{ \text{ 2(mol)×22.4(L/mol)=44.8(L) }} \]

参考:アボガドロの法則(定義・発見者・mol計算、気体計算との関係)

② 一酸化炭素と酸素による二酸化炭素の生成反応

  • 一酸化炭素COと酸素O2が反応すると二酸化炭素CO2が生成する。

\[ \mathrm{2CO+O_{2}→2CO_{2}} \]

  • このとき、CO、O2、CO2の3つの気体の間には次のようなmol比が成り立つ。

\[ \underbrace{ \mathrm{2CO} }
_{ \text{ 2(mol) }}
+
\underbrace{ \mathrm{O_{2}} }
_{ \text{ 1(mol) }}

\underbrace{ \mathrm{2CO_{2}} }
_{ \text{ 2(mol) }} \]

  • 先ほどと同じように、標準状態では気体1molあたりの体積が22.4(L/mol)であることを考慮すると、次のようになる。

\[ \underbrace{ \mathrm{2CO} }
_{ \text{ 2(mol)×22.4(L/mol)=44.8(L) }}
+
\underbrace{ \mathrm{O_{2}} }
_{ \text{ 1(mol)×22.4(L/mol)=22.4(L) }}

\underbrace{ \mathrm{2CO_{2}} }
_{ \text{ 2(mol)×22.4(L/mol)=44.8(L) }} \]

  • 各気体の体積(L)が簡単な整数比(2:1:2)になっていることが理解できる。

③水素と塩素による塩化水素の生成反応

  • 水素H2と塩素Cl2を反応させると塩化水素HClが生成する。

\[ \mathrm{H_{2}+Cl_{2}→2HCl} \]

  • このとき、H2、Cl2、HClの3つの気体の間には次のようなmol比が成り立つ。

\[ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ \text{ 1(mol) }}
+
\underbrace{ \mathrm{Cl_{2}} }
_{ \text{ 1(mol) }}

\underbrace{ \mathrm{2HCl} }
_{ \text{ 2(mol) }} \]

  • 標準状態では気体1molあたりの体積が22.4(L/mol)であることを考慮すると、次のようになる。

\[ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ \text{ 1(mol)×22.4(L/mol)=22.4(L) }}
+
\underbrace{ \mathrm{Cl_{2}} }
_{ \text{ 1(mol)×22.4(L/mol)=22.4(L) }}

\underbrace{ \mathrm{2HCl} }
_{ \text{ 2(mol)×22.4(L/mol)=44.8(L) }} \]

  • 各気体の体積(L)が簡単な整数比(1:1:2)になっていることが理解できる。

気体反応の法則の発見者・発見年

  • 気体反応の法則の発見者はゲーリュサック、発見した年は1808年である。

演習問題

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問1

気体反応の法則について、簡単に説明せよ。

解答/解説:タップで表示

解答:下記参照

気体同士が反応したり、反応によって気体が生成するとき、それらの気体の体積間には簡単な整数比が成り立つ。この法則を気体反応の法則という。

問2

気体反応の法則の発見者、発見した年を述べよ。

解答/解説:タップで表示

解答:ゲーリュサック/1808年

気体反応の法則の発見者はゲーリュサック、発見した年は1808年である。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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