【プロ講師解説】このページでは『気体反応の法則』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

気体反応の法則

気体反応の法則とは「気体同士が反応したり、反応によって気体が生成するとき、それらの気体の体積間には簡単な整数比が成り立つ」という法則である。

例として、①水素と窒素によるアンモニアの生成反応、②一酸化炭素と酸素による二酸化炭素の生成反応、③水素と塩素による塩化水素の生成反応を見ていこう。

①水素と窒素によるアンモニアの生成反応

水素と窒素を反応させるとアンモニアが生成する。

\[
3H_{2}+N_{2}→2NH_{3}
\]

このとき、水素、窒素、アンモニアの3つの気体間には、次のようなmol比が成り立つ。

\[
\underbrace{ 3H_{2} }
_{ \text{ 3(mol) }}
+
\underbrace{ N_{2} }
_{ \text{ 1(mol) }}

\underbrace{ 2NH_{3} }
_{ \text{ 2(mol) }}
\]

化学反応式(係数・作り方・書き方・計算問題の解き方など)にあるように、mol比は化学反応式の係数比と一緒になる。

ここで、標準状態における気体1molあたりの体積が22.4(L/mol)であることを考えると…(アボガドロの法則(定義・発見者・mol計算、気体計算との関係)を参照)

\[
\underbrace{ 3H_{2} }
_{ \text{ 3(mol)×22.4(L/mol)=67.2(L) }}
+
\underbrace{ N_{2} }
_{ \text{ 1(mol)×22.4(L/mol)=22.4(L) }}

\underbrace{ 2NH_{3} }
_{ \text{ 2(mol)×22.4(L/mol)=44.8(L) }}
\]

各気体の体積(L)が簡単な整数比になっているのがわかるね。(3:1:2

②一酸化炭素と酸素による二酸化炭素の生成反応

一酸化炭素と酸素が反応すると二酸化炭素が生成する。

\[
2CO+O_{2}→2CO_{2}
\]

このとき、一酸化炭素、酸素、二酸化炭素の3つの気体の間には次のようなmol比が成り立つ。

\[
\underbrace{ 2CO }
_{ \text{ 2(mol) }}
+
\underbrace{ O_{2} }
_{ \text{ 1(mol) }}

\underbrace{ 2CO_{2} }
_{ \text{ 2(mol) }}
\]

先ほどと同じように、標準状態では気体1molあたりの体積が22.4(L/mol)であることを考慮すると…

\[
\underbrace{ 2CO }
_{ \text{ 2(mol)×22.4(L/mol)=44.8(L) }}
+
\underbrace{ O_{2} }
_{ \text{ 1(mol)×22.4(L/mol)=22.4(L) }}

\underbrace{ 2CO_{2} }
_{ \text{ 2(mol)×22.4(L/mol)=44.8(L) }}
\]

このようになり、各気体の体積(L)が簡単な整数比(2:1:2)になっていることが理解できる。

③水素と塩素による塩化水素の生成反応

しつこいかもしれないが、もう1つ反応例を確認しておこう。

水素と塩素を反応させると塩化水素が生成する。

\[
H_{2}+Cl_{2}→2HCl
\]

このとき、水素、塩素、塩化水素の3つの気体の間には次のようなmol比が成り立つ。

\[
\underbrace{ H_{2} }
_{ \text{ 1(mol) }}
+
\underbrace{ Cl_{2} }
_{ \text{ 1(mol) }}

\underbrace{ 2HCl }
_{ \text{ 2(mol) }}
\]

さっきからやっているように、標準状態では気体1molあたりの体積が22.4(L/mol)であることを考慮すると…

\[
\underbrace{ H_{2} }
_{ \text{ 1(mol)×22.4(L/mol)=22.4(L) }}
+
\underbrace{ Cl_{2} }
_{ \text{ 1(mol)×22.4(L/mol)=22.4(L) }}

\underbrace{ 2HCl }
_{ \text{ 2(mol)×22.4(L/mol)=44.8(L) }}
\]

このようになり、各気体の体積(L)が簡単な整数比(1:1:2)になっていることが理解できる。

気体反応の法則の発見者・発見年

ゲーリュサック/1808年
Point!

気体反応の法則の発見者はゲーリュサック、発見した年は1808年である。

これらは入試に頻出なのでしっかり覚えておこう!(覚えておくだけで点になるよ!)

演習問題

問1

気体反応の法則とは何か、説明せよ。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:下記参照

気体反応の法則とは「気体同士が反応したり、反応によって気体が生成するとき、それらの気体の体積間には簡単な整数比が成り立つ」という法則である。

問2

気体反応の法則の発見者、及び発見した年を述べよ。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:ゲーリュサック/1808年

気体反応の法則の発見者はゲーリュサック、発見した年は1808年である。

問3

67.2Lの水素と22.4Lの窒素を反応させたとき、出てきた気体は44.8Lであった。
このとき出てきた気体の名称は何か。また、20.16Lの水素と6.72Lの窒素を反応させたときに出てくる気体は何Lか。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:アンモニア/13.44L

水素と窒素を反応させて出てくる気体はアンモニアである。

\[
3H_{2}+N_{2}→2NH_{3}
\]

また、20.16Lの水素と6.72Lの窒素を反応させたときに出てくるアンモニアの体積(Aとする)は次のように求める。

\[
67.2:44.8 = 20.16:A\\
\leftrightarrow A=13.44(L)
\]

水素の体積とアンモニアの体積で比をとって計算しているわけだね。
ちなみに、窒素の体積とアンモニアの体積でやっても同じように求めることができる。

\[
22.4:44.8 = 6.72:A\\
\leftrightarrow A=13.44(L)
\]

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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