【プロ講師解説】このページでは『ヨウ素価(定義、分子量・二重結合数を使った計算問題、けん化価との違いなど)』について解説しています。(けん化価についてはけん化価とは(計算問題・ヨウ素価との違いなど)を参照)解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
ヨウ素価とは
ヨウ素価とは油脂100gに付加するヨウ素のg数である。
ヨウ素価を求める計算
ここで、油脂1分子に含まれる二重結合(C=C)の数をa個とすると、付加反応は次のように考えることができる。
この反応において、油脂1molに対してI2がamol必要なので、油脂の分子量をM(g/mol)とするとヨウ素価は次のように表すことができる。
\[
\begin{align}
ヨウ素価&=\frac{ I_{ 2 }(g)}{ 油脂(g) }×100\\
&=\frac{ a(mol)×254(g/mol) }{ 1(mol)×M(g/mol) }×100\\
&=\frac{ 2.54a×10^{4} }{ M }
\end{align}
\]
\begin{align}
ヨウ素価&=\frac{ I_{ 2 }(g)}{ 油脂(g) }×100\\
&=\frac{ a(mol)×254(g/mol) }{ 1(mol)×M(g/mol) }×100\\
&=\frac{ 2.54a×10^{4} }{ M }
\end{align}
\]
それではこの式を使って次の例題を解いてみよう。
問題
分子量878、二重結合の数が6個の油脂のヨウ素価を求めなさい。
問題文で油脂の分子量と二重結合の数が与えられているので、それらを先ほどのヨウ素価の式に代入すると…
\[
\begin{align}
ヨウ素価&=\frac{ 2.54a×10^{4} }{ M }\\
&=\frac{ 2.54×6×10^{4} }{ 878 }\\
&≒174
\end{align}
\]
\begin{align}
ヨウ素価&=\frac{ 2.54a×10^{4} }{ M }\\
&=\frac{ 2.54×6×10^{4} }{ 878 }\\
&≒174
\end{align}
\]
ヨウ素価は174となる。
PLUS+
ヨウ素価の式をもう一度確認しよう。
\[
ヨウ素価=\frac{ 2.54a×10^{4} }{ M }
\]
式から分かるように、ヨウ素価は油脂の二重結合の数に比例し、分子量に反比例する。
これは、けん化価が油脂の分子量に反比例することと合わせて正確に覚えておこう。
※けん化価について詳しくはけん化価とは(計算問題・ヨウ素価との違いなど)を参照
演習問題
問1
ヨウ素価とは何か。定義を答えなさい。
問2
ヨウ素価は油脂中の何の数に比例するか。
問3
分子量1000、1分子中の二重結合の数が10個の油脂のヨウ素価を求めなさい。(整数値で解答)
問4
分子量878.2の油脂100gに付加するヨウ素は173.7gであった。この油脂1分子中の二重結合の数を求めなさい。(整数値で解答)
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著者プロフィール
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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