【プロ講師解説】アボガドロ定数を求め方の1つとしてステアリン酸の単分子膜形成を利用する方法があります。このページでは『ステアリン酸を使ったアボガドロ定数の求め方』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
ステアリン酸を使ったアボガドロ定数の求め方
問題
ステアリン酸C18H36O2(分子量284.0)をベンゼンなどの揮発性の溶媒に溶かして、水面に静かにそそぐと、溶液は水面に広がる。溶媒を抽出させると、親水基部分は水中を向き、一方、疎水基の部分は水からできるだけ離れるように空中に張り出した形で配列し、単分子膜を形成する。
次の操作1〜3に従って、ステアリン酸の単分子膜の面積からアボガドロ定数を見積もる実験を行った。
【操作1】濃度1.500×10-3mol/Lのステアリン酸のベンゼン溶液50.00mLを調製した。
【操作2】上記の溶液v[mL]を水面に静かに滴下し、ベンゼンを揮発させて単分子膜を作った。
【操作3】単分子膜の面積を測定すると、90.00cm2であった。
(1)操作1に必要なステアリン酸は何mgか。
(2)ステアリン酸1分子が水面上で占有する面積をs[cm2]とするとき、この実験から求められるアボガドロ定数[/mol]をv,sを用いて表せ。
次の操作1〜3に従って、ステアリン酸の単分子膜の面積からアボガドロ定数を見積もる実験を行った。
【操作1】濃度1.500×10-3mol/Lのステアリン酸のベンゼン溶液50.00mLを調製した。
【操作2】上記の溶液v[mL]を水面に静かに滴下し、ベンゼンを揮発させて単分子膜を作った。
【操作3】単分子膜の面積を測定すると、90.00cm2であった。
(1)操作1に必要なステアリン酸は何mgか。
(2)ステアリン酸1分子が水面上で占有する面積をs[cm2]とするとき、この実験から求められるアボガドロ定数[/mol]をv,sを用いて表せ。
『明治薬科大学 2013年 参考』
解答・解説(1)
解答:21.3(mg)
操作1に必要なステアリン酸の質量をx(mg)とすると次のような式を書くことができる。
左側の式は操作1の所に書かれているステアリン酸のモル濃度1.500×10-3(mol/L)と最終的に調製された溶液の体積(L)を使って、右側の式はステアリン酸の質量xmg(未知)と問題文の始めに書いてあるステアリン酸の分子量284.0(g/mol)を使って、ステアリン酸のmolを表しているんだね。当然どちらの計算をしても出てくるステアリン酸のmolは同じはずなのでイコールで結んでいる。
この式を解くと…x=21.3(mg)となる。
解答・解説(2)
解答:6.000×107/sv(/mol)
アボガドロ定数の単位は(コ/mol)になるはずなので、既知の値とs,vを使って単位を合わせていく。
分子の“個数”は、問題文の操作3のところに記載されている単分子膜の面積90.00(cm2)をステアリン酸分子のステアリン酸1分子が水面上で占有する面積s(cm2/コ)で割ることで、分母の“mol”はステアリン酸分子のモル濃度1.500×10-3(mol/L)(mol/L)に滴下したステアリン酸の体積v/1000(L)をかけることで導き出すんだね。
この式を整理すると…6.000×107/sv(コ/mol)となる。
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著者プロフィール
・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細
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・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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