【プロ講師解説】このページでは『電子配置の基礎や電子殻の名前、電子を殻に入れていく際のルール・順番等』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
電子殻とは
【原子の構造】陽子・中性子・電子・原子核・質量数・原子番号の数と関係にある通り、原子の中心には原子核があり、その周りを電子がグルグル回っている。
このとき、電子の回る道(黒い円)のことを電子殻という。
電子殻は層になっており、内側から順にK殻、L殻、M殻、N殻という名前がついている。
それぞれの電子殻に入れることのできる電子の数は決まっており、K殻は2個、L殻は8個、M殻は18個、N殻は32個である。これを一般式で表すと2n2個となる。(nにはK殻なら1、L殻なら2…を入れる)
※テストで毎回一般式から考えていると時間がないので2個8個18個32個という数字はできるだけ暗記しておこう!
電子配置とは
電子が電子殻に入るとき、その入り方にはある規則性(ルール)がある。それを電子配置という。
基本的なルールは次の2つ。
RULE1 | 電子は内側の殻から順に入る |
RULE2 | 最外殻電子は8コまで |
いくつか例を挙げてこれらのルールについて確認していこう。
例1)炭素(原子番号6)の電子配置
炭素の原子番号は6。
したがって、もっている電子の数は6個である。
STEP1
RULE1より、まずは最も内側のK殻に電子が入る。
K殻に入れることができる電子は2個までなので2個入れたところでストップ。
STEP2
次に、1つ外側のL殻に4個の電子が入る。
これで炭素のもつ6個の電子が全て収まったので完成。
例2)カルシウム(原子番号20)の電子配置
カルシウムの原子番号は20。
したがって、20個の電子を持っている。
STEP1
炭素同様、まずは内側のK殻に2個の電子が入る。
STEP2
L殻に8個の電子が入る。
L殻は8個までしか電子を入れることができないのでここでストップ。
STEP3
M殻に8個の電子が入る。
ここが重要なポイント。M殻は18個まで電子を入れることができるけど、RULE2より最外殻電子(=最も外側の電子殻に存在する電子)は8個を超えてはいけないので次の殻にいく。
STEP4
N殻に2個の電子が入る。
これでカルシウムのもつ20個の電子を全て使い切ったので終了。
例3)チタン(原子番号22)の電子配置
チタンの原子番号は22。
したがって、もっている電子の数は22個。
STEP1
K殻に2個の電子が入る。
STEP2
L殻に8個の電子が入る。
STEP3
M殻に8個の電子が入る。
最外殻電子が8個を超えてはいけないのでここで一旦ストップ。
STEP4
N殻に2個の電子が入る。
あれ?残りの4個全部入れればいいんじゃないの?と思った人。ここは2個でOK。残りの2個がどこにいくのかは次のSTEP5を見てみよう。
STEP5
M殻に2個の電子が入る。
最外殻がN殻になったからM殻にはもう8個以上の電子を入れてよくなったわけだね。
演習問題
問1
電子が収容される場所を【1】といい、電子が【1】に入るときの“入り方”を【2】という。
問2
電子殻は内側から順に【1】殻、【2】殻、【3】殻、【4】殻という名前がついている。
それぞれに収容できる電子の数は順に【5】個、【6】個、【7】個、【8】個であり、一般式で表すと【9】個となる。
問3
最も外側の電子殻(最外殻と呼ばれる)に入っている電子は、原子同士が結合するときに重要な役割を果たしており【1】と呼ばれる。
電子殻が最大収容電子数まで埋まっているとき、その電子殻は【2】と呼ばれ、最外殻が【2】になったとき原子は非常に安定する。
問4
最外殻が閉殻の原子や最外殻にある電子(最外殻電子)が8個の原子は【1】と呼ばれ、非常に安定した電子配置をもつ。
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
著者紹介詳細