【プロ講師解説】このページでは『双性イオン(定義や特徴、酸・塩基との反応など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
双性イオンとは
アミノ酸は分子内にカルボキシ基(-COOH)とアミノ基(-NH2)を併せ持っており、酸性を示す-COOHから塩基性を示す-NH2にH+が移動し、分子内で塩を形成することがある。
このとき生じる正電荷と負電荷を持つイオンを双性イオンという。双性イオンはクーロン力(静電引力)でお互いを引き合うためアミノ酸の結晶を形成する。従って、アミノ酸の結晶はイオン結晶であり、水に溶けやすく融点が高いという特徴がある。
双性イオンと溶液のpH
双性イオンであるアミノ酸は、酸や塩基と反応することがある。それぞれに分けて説明していこう。
双性イオンと酸
アミノ酸は結晶中で双性イオンとして存在している。これを水に溶かし、そこに酸(塩化水素HClなど)を加えると次のように反応しアミノ酸は(双性イオンから)陽イオンとなる。
双性イオンと塩基
双性イオンであるアミノ酸を塩基(水酸化ナトリウムNaOHなど)と反応させると陰イオンになる。
双性イオンの反応まとめ
最後に、双性イオンと酸・塩基の反応をまとめておこう。
アミノ酸は溶液のpHが下がる(酸性になる)ほど陽イオンに、pHが上がる(塩基性になる)ほど陰イオンに近くわけだね!
演習問題
アミノ酸は分子内にカルボキシ基とアミノ基を併せ持っており、【1(酸or塩基)】性を示すカルボキシ基から【2(酸or塩基)】性を示すアミノ基にH+が移動し、分子内で塩を形成することがある。このとき生じる正電荷と負電荷をもったイオンを【3】という。
双性イオンは【1】でお互いを引き合うためアミノ酸の結晶を形成する。したがって、アミノ酸の結晶は【2】結晶であり、水に溶け【3(やすorにく)】く、融点が【4(高or低)】いという特徴がある。
アミノ酸の結晶を水に溶かし、そこに酸を加えるとアミノ酸は【1(陽or陰)】イオンとなる。
双性イオンであるアミノ酸を塩基と反応させると【1(陽or陰)】イオンになる。
アミノ酸は溶液のpHが下がるほど【1(陽or陰)】イオンの、pHが上がるほど【2(陽or陰)】イオンの割合が多くなる。
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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