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【マルコフニコフ則】反応の原理を大学レベルまで踏み込んで解説
目次
はじめに
【プロ講師解説】このページでは『【マルコフニコフ則】反応の原理を大学レベルまで踏み込んで解説』について解説しています。
マルコフニコフ則とは
- アルケンへのハロゲン化水素HXや水H2Oの付加を考える際、マルコフニコフ則という法則を考慮する必要がある。
参考:アルケン(一般式の作り方・一覧・命名法・製法・付加反応など)
- プロピレン(CH3ーCH=CH2)へのH2O付加を例に解説する。
- プロピレンにH2Oが付加すると2種類の物質が生成する。1つは、Hが真ん中の炭素にくっついた「1-プロパノール」、もう1つはHとOHが逆にくっついた「2-プロパノール」である。
- このとき、1-プロパノールと2-プロパノールは同じ量、つまり50%ずつできるという訳ではない。
●マルコフニコフ則
Hが多く付いている炭素にHが結合する
- マルコフニコフ則というルールにより、既にHが多く結合している方の炭素にHが、Hが少ない方の炭素にOHが付く。
- したがって、今回の場合は2-プロパノールができる可能性の方が、1-プロパノールができる可能性よりも高いということになる。
- 結果として、2-プロパノールが主生成物(量が多い生成物)、1-プロパノールが副生成物(量が少ない生成物)となる。
マルコフニコフ則の反応機構
- 上述の通り、プロピレンにH2Oが付加すると2種類の物質が生成し、1つはHが真ん中の炭素にくっついた「1-プロパノール」、もう1つはHとOHが逆にくっついた「2-プロパノール」である。
- この反応を”中間体”を省略せずに書くと次のようになる。
- (A)は1-プロパノールが、(B)は2-プロパノールが生じる際の中間体(途中の生成物)である。
- (B)は(A)と比較してエネルギー的に安定なので(B)は(A)よりも多く生じる。
- ではなぜ(B)が(A)よりも安定なのかという点について解説していく。
- 中間体内に存在する正電荷をもった炭素は、隣接したC-H結合の共有電子対を引き寄せて、正電荷を分散させることで、エネルギー的に安定になる(原子はできるだけ中性の状態でいたいので、正電荷をもってしまった炭素に対してみんなで電子を送ることで助けてあげるイメージ)。
- したがって、正電荷をもつ炭素の隣にC-H結合が多い(B)は、正電荷をより広範囲に分散できるため、(A)よりも安定になる。
- 結果、(B)は(A)よりも生成しやすいので、上の反応の方がより進みやすく、プロピレンへのH2O付加の主生成物は2-プロパノールとなる。