【プロ講師解説】このページでは『マルコフニコフ則(反応の原理など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

マルコフニコフ則とは

アルケン(一般式の作り方・一覧・命名法・製法・付加反応など)にあるようなアルケンへのハロゲン化水素HXや水H2Oの付加を考える際、マルコフニコフ則という法則を考慮する必要がある。

プロピレン(CH3ーCH=CH2)へのH2O付加を例に説明していこう。

プロピレンにH2Oが付加すると2種類の物質が生成する。
1つは、Hが真ん中の炭素にくっついた「1-プロパノール」、もう1つはHとOHが逆にくっついた「2-プロパノール」である。

このとき、1-プロパノールと2-プロパノールは同じ量、つまり50%ずつできるという訳ではない。

マルコフニコフ則
Hが多く付いている炭素にHが結合する
Point!

マルコフニコフ則というルールによって、既にHが多く付いている方の炭素にHが、Hが少ない方の炭素にOHが付く。

したがって、今回の場合は2-プロパノールができる可能性の方が1-プロパノールができる可能性よりも高いということになる。

結果として、2-プロパノールが主生成物(量が多い生成物)、1-プロパノールが副生成物(量が少ない生成物)となる。

マルコフニコフ則の反応機構

上述の通り、プロピレンにH2Oが付加すると2種類の物質が生成し、1つはHが真ん中の炭素にくっついた「1-プロパノール」、もう1つはHとOHが逆にくっついた「2-プロパノール」である。

この反応を”中間体”を省略せずに書くと次のようになる。

(A)は1-プロパノールが、(B)は2-プロパノールが生じる際の中間体(途中の生成物)である。
(B)は(A)と比較してエネルギー的に安定なので(B)は(A)よりも多く生じる。

ではなぜ(B)が(A)よりも安定なのかという点について解説していく。

中間体中に存在する正電荷をもった炭素は、隣接したC-H結合の共有電子対を引き寄せて、正電荷を分散させることで、エネルギー的に安定になる。(原子はできるだけ中性の状態でいたいので、正電荷をもってしまった炭素に対してみんなで電子を送ることで助けてあげるイメージ)

したがって、正電荷をもつ炭素の隣にC-H結合が多い(B)は、正電荷をより広範囲に分散できるため、(A)よりも安定になる。
結果、(B)は(A)よりも生成しやすいので、上の反応の方がより進みやすく、プロピレンへのH2O付加の主生成物は2-プロパノールとなる。

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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