【プロ講師解説】このページでは『有機化合物の表記法(分子式・示性式・構造式など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
※有機化合物は以下の三通りの方法で表すことができ、これらを順番に解説していきます。
分子式
分子を構成している原子の種類とその数を表した式を分子式という。
例えばエタノールでは、炭素C原子が2つなのでC2、水素H原子が6コなのでH6、酸素O原子が1つなのでO(1は省略)、これらを合わせて「C2H6O」となる。
示性式
分子式から官能基を抜き出して明示した式を示性式という。
例えば、エタノールでは次のようになる。
官能基であるヒドロキシ基-OHを抜き出して強調した形になっている。
※官能基について詳しくは【分類】有機化合物の基礎〜鎖式・環式・飽和・不飽和・炭化水素・官能基など〜を参照
構造式
原子間の結合を価標を用いて表した式を構造式という。
例えば、エタノールでは次のようになる。
構造式中にある価標は(あるルールの下)省略して表すことができる。
詳しくは次の「構造式の省略」のところで説明する。
構造式の省略
構造式は一部分を省略した「簡略構造式」として表すことがある。
省略パターンは主に3つ。順番に見ていこう。(例として次の構造式を用いる)
パターン①
まずは、H原子の単結合を省略する。
パターン②
次に、パターン①に加えて不飽和結合(C=C)や枝分かれの価標以外を省略する。
パターン③
最後は、パターン①②に加えて枝分かれの価標を省略する。(つまり、C=C結合以外は省略するということ!)
枝分かれは、()を使うことで表現する。
ちなみに、ここまで省略した式からでも全体の構造はしっかりとイメージできるようにしておこう。
構造式を書く際の注意点
反対向きの表記でも可
官能基を書くときは逆向きの表記でも大丈夫。
アルファベットの表記順に注意
官能基を省略形で書くときは、並べる”アルファベットの順番”に注意する必要がある。
例えば、アルデヒド基。
アルデヒド基はCとOとHで成り立っているが、「COH」という表記は×。省略するときは「CHO」という書き方にしなければならない。
※官能基について詳しくは【分類】有機化合物の基礎〜鎖式・環式・飽和・不飽和・炭化水素・官能基など〜を参照
一問一答
分子を構成している原子の種類とその数を表した式を【1】という。エタノールを【1】で表すと【2】となる。
分子式から官能基を抜き出して明示した式を【1】という。エタノールを【1】で表すと【2】となる。
原子間の結合を価標を用いて表した式を【1】という。エタノールを【1】で表すと【2】となる。
構造式の価標を省略した式のことを【1】という。
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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