【プロ講師解説】このページでは『メタンハイドレートに関する計算問題の解き方』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
メタンハイドレートに関する計算問題の解き方
問題
(1)メタンハイドレートの化学式を4CH4・23H2Oとすると、式量はいくらか。
(2)メタンハイドレート1.0m3から得られるメタンガスの標準状態における体積は何m3か。
(3)メタンハイドレート1.0m3をある体積の容器に入れ、十分な酸素で満たして完全燃焼させた。燃焼後に容器内に存在する水の物質量は何molか。
解答・解説(1)
メタンハイドレートの化学式は問題文に書かれている通り4CH4・23H2Oである。
式量を求めるには、メタンハイドレートを構成してる原子(分子)の原子量(分子量)を足せばいいので、CH4の分子量が16、H2Oの分子量であることを考慮すると…
4×16 + 23×18 = 478
\]
答えは、478となる。
解答・解説(2)
Lとcm3、Lの関係を確認しておこう。
この関係を頭に入れた上で、まずはメタンハイドレート1.0m3の物質量を求めていく。
単位が最終的に「mol」になるように掛けたり割ったりするんだね。メタンハイドレートの体積1.0m3を(0.91(g/cm3)とかけて約分できるように)1×106cm3に変換していることに注意しよう!
次に、1分子のメタンハイドレートに含まれるメタンCH4分子の数は「4個」であることを考慮してCH4の体積を求めていく。
メタンハイドレートのmolに4をかけてメタンのmolを、メタンのmolに標準状態の気体の体積である22.4(L/mol)をかけてメタンのLを、メタンのLに10-3をかけて(1m3=1×103Lの関係を利用して)メタンのm3を求めているんだね!
解答・解説(3)
燃焼後に容器内に存在する水H2Oには2種類存在する。
・メタンハイドレート中のメタンCH4が燃焼することで生成するH2O
まず、メタンハイドレート1m3中に始めから存在するH2Oのmolを求めよう。
1.90×10^{3}(mol)×23=4.37×10^{4}(mol)
\]
メタンハイドレート1分子にH2Oが23個含まれている(4CH4・23H2O)から、メタンハイドレートのmolに23をかけているんだね。
次に、メタンハイドレート中のメタンCH4が燃焼することで生成するH2Oのmolを求めていく。
メタンの燃焼を表す反応式は以下の通り。
CH_{4}+O_{2}→CO_{2}+2H_{2}O
\]
1molのメタンから2molの水が出ているのがわかるよね。これを使って、次の式を作ることができる。
メタンハイドレートのmolに4をかけることでCH4のmolを、CH4のmolに2をかけることでH2Oのmolを出すことができる。
最後に、メタンハイドレート1m3中に始めから存在するH2Oのmolと、メタンハイドレート中のメタンCH4が燃焼することで生成するH2Oのmolを足して…
4.37×10^{ 4 } + 1.52×10^{ 4 } ≒ 5.9×10^{ 4 }(mol)
\]
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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