【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答を掲載しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。一問一答コンテンツ一覧は化学のグルメ『高校化学・化学基礎一問一答コンテンツ一覧』をご覧下さい。

一問一答

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

多数の単糖が縮合重合してできた糖を【1】という。【1】には、栄養源として栄養を貯蔵する役割を果たす【2】と、植物の細胞壁などに存在し、その構造を維持する役割を果たす【3】がある。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】多糖【2】栄養多糖【3】構造多糖

多数の単糖が縮合重合してできた糖(高分子化合物)を多糖という。
多糖類にはデンプンやグリコーゲンのように栄養源(エネルギー源)として貯蔵するために作られたものがあり、それらを栄養多糖という。
一方、セルロースは植物の細胞壁に存在し、植物体を支え、構造を維持する役割を果たしているため、構造多糖と呼ばれる。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

デンプンは【1(αorβ)】-グルコースが縮合重合した多糖である。
デンプンのうち、20〜25%は【2】、75〜80%は【3】である。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】α【2】アミロース【3】アミロペクチン

デンプンはα-グルコースが縮合重合してできる多糖である。
デンプンはその構造により「アミロース」「アミロペクチン」に分けることができる。

\[
\begin{eqnarray}
デンプン
\begin{cases}
アミロース & ( 20〜25 \% ) \\
アミロペクチン & ( 75〜80 \% )
\end{cases}
\end{eqnarray}
\]

デンプンのうち、20〜25%はアミロース、75〜80%はアミロペクチンである。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問3

【】に当てはまる用語を答えよ。

多数のα-グルコースが1位と4位のヒドロキシ基の間で脱水縮合してできた多糖を【1】という。
【1】中に存在するエーテル結合は【2】と呼ばれる。【1】は【3(直鎖or分枝)】状のらせん構造をしており、
ヒドロキシ基はらせん構造を補強する分子【4(内or間)】水素結合に使われている。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:【1】アミロース【2】グリコシド結合(α-1,4-グリコシド結合)【3】直鎖【4】内

アミロースは、多数のα-グルコースがマルトース(麦芽糖)のように、1位と4位のヒドロキシ基(-OH)の間で脱水縮合した構造をしている。

このとき生じたエーテル結合をグリコシド結合(α-1,4-グリコシド結合)という。

一見まっすぐ延びた直鎖状だが、マルトースのような折れ曲がった繋がり方をしているため、実際には直鎖状のらせん構造をしている。このとき、分子内の-OHはらせん構造を補強する「分子内水素結合」に使われる。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問4

【】に当てはまる用語を答えよ。

多数のα-グルコースが1位と4位のヒドロキシ基の間、及び1位と6位のヒドロキシ基の間で脱水縮合してできた多糖を【1】という。
【1】に含まれるエーテル結合にはα-1,4-グリコシド結合とα-1,6-グリコシド結合があるため、【2(直鎖or分枝)】状のらせん構造をとる。
また、【1】のらせんの長さはアミロースよりも【3(長or短)】めである。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:【1】アミロペクチン【2】分枝【3】短

アミロペクチンは、多数のα-グルコースが1位と4位の-OHの間、及び1位と6位の-OHの間で脱水縮合した構造をしている。

このとき生じたエーテル結合をそれぞれα-1,4-グリコシド結合α-1,6-グリコシド結合という。

1,4結合と1,6結合が存在するため、(アミロースと異なり)分枝状らせん構造をしている。

分子中の1つの枝は20個程度のグルコースが縮合したもので、らせんの長さはアミロースよりも短めである。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問5

【】に当てはまる用語を答えよ。

多数のβ-グルコースが1位と4位のヒドロキシ基の間で脱水縮合してできた多糖を【1】という。
【1】中に存在するエーテル結合は【2】と呼ばれる。
【1】は直線構造をしており、構造中に含まれる水素結合には、直線構造を補強する分子【3(内or間)】水素結合と、分子同士を結びつける分子【4(内or間)】水素結合がある。
【問5】解答/解説:タップで表示
解答:【1】セルロース【2】グリコシド結合(β-1,4-グリコシド結合)【3】内【4】間

セルロースの構造

※セルロース中のエーテル結合は(β-グルコースが1位と4位の-OHの間で脱水縮合しているので)β-1,4-グリコシド結合と呼ばれる。

※セルロース中に存在する水素結合のうち、同一分子内に存在して直線構造を補完するものを分子内水素結合、異分子間に存在し分子同士を結びつけるものを分子間水素結合という。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問6

【】に当てはまる用語を答えよ。

多糖類は化合物内に【1】基が非常に多いため、吸湿性が極めて【2(高or低)】い。
【問6】解答/解説:タップで表示
解答:【1】ヒドロキシ【2】高

多糖類は化合物内にヒドロキシ基(-OH)が多いため、吸湿性が非常に高い。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問7

【】に当てはまる用語を答えよ。

アミロースは冷水に溶け【1(やすorにく)】い。
これは、アミロース中のヒドロキシ基がらせん構造を形成する分子【2(内or間)】水素結合に使われるためである。
【問7】解答/解説:タップで表示
解答:【1】にく【2】内

アミロースの-OHはらせん構造を形成するための「分子内水素結合」に使われるため、多数の-OHがあるにも関わらず、冷水には溶けにくい。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問8

【】に当てはまる用語を答えよ。

アミロースとアミロペクチンのうち、熱水に溶けやすいのは【1】である。
【問8】解答/解説:タップで表示
解答:【1】アミロース

アミロースを熱すると分子内水素結合が切れてらせん構造が崩れる。結果、水分子と水素結合を形成することができ、熱水によく溶ける。

一方、アミロペクチンは枝分かれが多く、アミロースに比べて分子量も大きいため、熱水の場合も溶けにくく、白くなって下に沈む。(白色沈殿)

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問9

【】に当てはまる用語を答えよ。

セルロースは熱水に溶け【1(やすorにく)】い。
これは、規則正しく生じた【2】によって分子同士が強く結びついているためである。
ただし、【3】試薬を用いる方法や、水酸化ナトリウムと【4】を用いる方法などで溶かすことも可能である。
【問9】解答/解説:タップで表示
解答:【1】にく【2】水素結合【3】シュバイツァー【4】二硫化炭素

セルロースの-OHは、分子内だけではなく、分子間での水素結合にも使われている。
規則正しく生じた水素結合によって分子同士が強く結びついているため、熱水に対しても結晶部分が崩れないので、溶けることはほとんどない。

※セルロースは特殊な方法によって溶かすことが可能である。セルロースを溶かす方法についてはシュバイツァー試薬や二硫化炭素を用いてセルロースを溶かす方法を参照
※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問10

【】に当てはまる用語を答えよ。

デンプンのアミロースやアミロペクチンにヨウ素ヨウ化カリウム溶液を加えると青〜青紫色に呈色する。この反応を【1】反応という。
一方、セルロースは【2】構造をもたないので、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液を加えても呈色しない。
【問10】解答/解説:タップで表示
解答:【1】ヨウ素デンプン【2】らせん

デンプンのアミロースやアミロペクチンにヨウ素ヨウ化カリウム溶液を加えると青〜青紫色を呈する。
この反応をヨウ素デンプン反応という。

一方、セルロースはらせん構造をもたないので呈色しない。

※ヨウ素デンプン反応について詳しくはヨウ素デンプン反応(原理・色の違い・反応式など)を参照
※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問11

【】に当てはまる用語を答えよ。

多糖は、【1】又は【2】の触媒作用により加水分解し、二糖または単糖となる。
【問11】解答/解説:タップで表示
解答:【1】酵素【2】酸(【1】・【2】は順不同)

多糖類は、酵素又は酸の触媒作用により加水分解し、二糖または単糖となる。

\[
\underbrace{(C_{6}H_{10}O_{5})_{n} }_{ 多糖 }+(\frac{ n }{ 2 }-1)H_{2}O →^{ 酵素 } \underbrace{ \frac{ n }{ 2 }C_{12}H_{22}O_{11} }_{ 二糖 } \\
\underbrace{(C_{6}H_{10}O_{5})_{n} }_{ 多糖 }+(n-1)H_{2}O →^{ 酸 } \underbrace{ nC_{6}H_{12}O_{6} }_{ 単糖 }
\]

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問12

【】に当てはまる用語を答えよ。

デンプンは酵素【1】により加水分解され、途中分解生成物である【2】を経て【3】になる。
また、ここでさらに【4】を加えると【5】まで分解される。
一方、【6】を用いると【3】で止まらず、【5】まで一気に分解される。
【問12】解答/解説:タップで表示
解答:【1】アミラーゼ【2】デキストリン【3】マルトース(麦芽糖)【4】マルターゼ【5】グルコース【6】酸

デンプンは酵素アミラーゼにより加水分解され、途中分解生成物であるデキストリンを経て、マルトース(麦芽糖)になる。(ここにマルターゼを加えるとさらにグルコースまで分解される:二糖の加水分解
一方、酸を用いるとマルトースで止まらず、グルコースまで一気に分解される。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

問13

【】に当てはまる用語を答えよ。

セルロースは酵素【1】により加水分解されて【2】になる。
また、ここでさらにセロビアーゼを加えると【3】まで分解される。
一方、【4】を用いると【2】で止まらずに、【3】まで一気に分解される。
【問13】解答/解説:タップで表示
解答:【1】セルラーゼ【2】セロビオース【3】グルコース【4】酸

セルロースは酵素セルラーゼにより加水分解されてセロビオースになる。(ここにセロビアーゼを加えるとさらにグルコースまで分解される:二糖の加水分解
一方、酸を用いるとセロビオースで止まらずに、グルコースまで一気に分解される。

※多糖類について詳しくは【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解などを参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細