反応速度【高校化学・化学基礎一問一答】

目次

はじめに

【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。


問1

化学反応の速さは単位時間あたりの濃度の変化量で表され、これを【1】という。

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解答:【1】反応速度

化学反応の速さは単位時間あたりの濃度の変化量で表され、これを反応速度という。

\[ \overline{ V }=\left|\frac{ [A]_{2}-[A]_{1} }{ t_{2}-t_{1} }\right| \]

参考:反応速度計算(求め方・測定・式・単位の変換など)

問2

反応物の濃度と反応速度の関係を表す式を【1】といい、この式に含まれる定数Kを【2】という。

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解答:【1】反応速度式【2】反応速度定数

反応速度は、反応速度定数(K)を用いて次のように表すこともできる。

\[ 平均の速度\overline{ V }=K・[\overline{ A }]\\
瞬間の速度V=K・[A] \]

この反応速度定数(K)を用いた式を速度式(反応速度式)とよぶ。

参考:反応速度計算(求め方・測定・式・単位の変換など)

問3

水素とヨウ素を密閉容器に入れ加熱すると、以下の反応が起こる。

\[ K=A・e^{-\frac{ E_{a} }{ RT }} \]

(1)正反応・逆反応の速さ(V1・V2)を、それぞれ式で表せ。ただし、正反応の反応速度定数はK1、逆反応の反応速度定数はK2とする。
(2)この反応において、H2の濃度を2倍、I2の濃度を3倍にすると、正反応の速さは何倍になるか。
(3)この反応において、圧力を元の4倍にしたとすると、正反応の速さは何倍になるか。

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解答:(1)『正反応』V1=K1×[H2][I2] 『逆反応』V2=K2×[HI]2(2)6倍(3)16倍

(1)

まずは、正反応と逆反応の違いについて理解しておく必要がある。

\[ \mathrm{H_{2}+I_{2}\underset{逆反応}{\overset{正反応}{\rightleftarrows}}2HI} \]

正反応は左向きの反応、逆反応は右向きの反応である。

参考:可逆反応と不可逆反応

正反応の速度式は、上で説明してきた通り次の式を使う。

\[ V=K・[A] \]

今回は、反応物(上の式のA)がH2とI2の2つなので、次のように表すことができる。

\[ V_{1}=K_{1}×[\mathrm{H_{2}}][\mathrm{I_{2}}] \]

次は、逆反応の速度式を考えていく。

まず逆反応における「反応物」が何かを考える。今回の反応式における逆反応では、HIからH2とI2が生成している。したがって、反応物は「HI」だということになる。(反応のスタート時点の物質=反応物)

正反応と同じように次のような式を導くことができる。

\[ V=K・[A] \]

\[ V_{2}=K_{2}×[\mathrm{HI}]^{2} \]

逆反応では、反応物の濃度([A])のところにはHIの濃度([HI])を当てはめている。

※[HI]が2乗になっているのは、反応式中のHIの係数が「2」だからである。
今回の反応のように、1段階だけで完結する”素反応”であり、かつ反応全体が1つの素反応でできている反応(単純反応)に限り、反応式中の係数を速度式の次数として用いることができる。
単純反応でなく、中間体を経て進む多段階反応(複合反応)の場合、次数は実験結果によって求める必要がある。

(2)

(1)より正反応の反応式は次の通りである。

\[ V_{1}=K_{1}×[\mathrm{H_{2}}][\mathrm{I_{2}}] \]

H2の濃度が2倍に、I2の濃度が3倍になったということは、[H2]×[I2]は2×3で6倍になったと考えられる。したがって、正反応の速度は6倍になる。

(3)

圧力が4倍になると、体積は4分の1になる。体積が4分の1になると(その分狭くなったスペースにたくさんの分子が閉じ込められるため)濃度は4倍になる。したがって、[H2]と[I2]の濃度がそれぞれ4倍になるので、反応速度は4×4で16倍となる。

\[ V=K×\underbrace{ [\mathrm{H_{2}}] }
_{ \text{ 4倍! }}\underbrace{ [\mathrm{I{2}}] }
_{ \text{ 4倍! }}
\]

参考:反応速度計算(求め方・測定・式・単位の変換など)

問4

A→2B+Cの反応が起こるとする。
一定温度でAの濃度を測定すると下図のようになった。

t(s)[A](mol/L)
09.00
8003.00

(1)0から800秒の平均の速度(mol/(L・s))を求めよ。
(2)反応速度定数(K)の値を求めよ。ただし、単位も明記すること。
(3)実験開始から1200秒後のAの濃度は2.00(mol/L)であった。この時点における瞬間の速さ(mol/(L・s))を求めよ。

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解答:(1)7.50×10-3(mol/(L・s))(2)1.25×10-3(/s)(3)2.50×10-3(mol/(L・s))

●STEP1
定義式を用いて、平均の速さを求める。

\[ \begin{align}
\color{red}{\overline{ V }}&=\left|\frac{ [A]_{2}-[A]_{1} }{ t_{2}-t_{1} }\right|
\end{align} \]

●STEP2
速度式を用いて、反応速度定数(K)を求める。

\[ \overline{ V }=\color{red}{K}・[\overline{ A }] \]


●STEP3
速度式を用いて、瞬間の速さを求める。

\[ \begin{align}
\color{red}{V}&=K・[A]
\end{align} \]

STEP
定義式を用いて、平均の速さを求める。

まずは、定義式を用いて、平均の速さを求める。

\[ \begin{align}
\overline{ V }&=\left|\frac{ [A]_{2}-[A]_{1} }{ t_{2}-t_{1} }\right|\\
\\
&=\left|\frac{ 3.00-9.00 }{ 800-0 }\right|\\
\\
&=7.50×10^{-3}(\mathrm{mol/(L・s)})
\end{align} \]

STEP
速度式を用いて、反応速度定数(K)を求める。

次に、速度式(平均の速さ)を用いて反応速度定数(K)を求める。

\[ \overline{ V }=K・[\overline{ A }]\\
7.50×10^{-3}=K・\frac{ 9.00+3.00 }{ 2 }\\
K=1.25×10^{-3}(\mathrm{/s}) \]

STEP
速度式を用いて、瞬間の速さを求める。

最後に、速度式(瞬間の速さ)を用いて瞬間の速さを求める。

\[ \begin{align}
V&=K・[A]\\
&=1.25×10^{-3}×2.00\\
&=2.50×10^{-3}(\mathrm{mol/(L・s)})
\end{align} \]

参考:反応速度計算(求め方・測定・式・単位の変換など)

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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