【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答を掲載しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。一問一答コンテンツ一覧は化学のグルメ『高校化学・化学基礎一問一答コンテンツ一覧』をご覧下さい。

一問一答

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

電離による平衡状態を【1】といい、そのときの平衡定数を【2】という。

【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】電離平衡【2】電離定数

弱電解質(弱酸や弱塩基)を水に溶かすと、完全には電離せず次のような平衡状態に達する。

\[
CH_{3}COOH+H_{2}O⇄CH_{3}COO^{-}+H_{3}O^{+}
\]

このような平衡を(酢酸の)電離平衡という。

ここで、上の式を平衡定数の式で表すと、

\[
K=\frac{ [CH_{3}COO^{-}][H_{3}O^{+}] }{ [CH_{3}COOH][H_{2}O] }=一定
\]

この式中で、H2Oは他の化学種に比べて多量に存在しているため、電離や平衡によって消費・生成する量は(相対的に)ムシすることができる。そこで、[H2O]を一定とみなし…

\[
K[H_{2}O]=\frac{ [CH_{3}COO^{-}][H_{3}O^{+}] }{ [CH_{3}COOH] }=一定
\]

このようにできる。

K[H2O]を改めてKaとおき、また[H3O+]は[H+]の形で表しても良いことを考慮すると…

\[
K_{a}=\frac{ [CH_{3}COO^{-}][H^{+}] }{ [CH_{3}COOH] }
\]

このような式が導き出される。

このKa(酢酸の電離平衡における)電離定数という。

※電離平衡・電離定数ついて詳しくは電離平衡(公式の導出・例・pHが絡む計算問題の解き方など)を参照

問2

以下の問いに答えよ。ただし、酢酸・アンモニアの電離度はどちらも0.010、水のイオン積([H+][OH])は1.0×10-14、log102=0.3とする。

(1)0.20mol/Lの酢酸水溶液の電離定数Ka、水素イオン濃度[H+]、pHを求めよ。
(2)0.10mol/Lのアンモニア水溶液の電離定数Kb、水酸化物イオン濃度[OH]、pHを求めよ。

【問2】解答/解説:タップで表示
解答:以下参照

(1)

まずは電離定数Kaから求めていく。
問題文に酢酸の電離度は0.010と書いてあるので、上でやった【公式1】を用いると…

\[
\begin{align}
K_{a}&=cα^{2}\\
&=0.20×(0.010)^{2}\\
&=2.0×10^{-5}
\end{align}
\]

次に水素イオン濃度[H+]を求める。
公式3を使うと…

\[
\begin{align}
[H^{+}]&=\sqrt{ cK_{a} }\\
&=\sqrt{ 0.20×2.0×10^{-5} }\\
&=2.0×10^{-3}
\end{align}
\]

(ちなみにこの場合は[H+]=cαを使っても求めることができる)

最後にpHを求める。高校化学pH計算完全マスター講座!!で紹介した公式を用いると…

\[
\begin{align}
pH&=-log_{10}[H^{+}]\\
&=-log_{10}(2.0×10^{-3})\\
&=2.7
\end{align}
\]

(2)

まずは電離定数Kbから求めていく。
問題文にアンモニアの電離度は0.010と書いてあるので、上でやった【公式1】を用いると…

\[
\begin{align}
K_{b}&=cα^{2}\\
&=0.10×(0.010)^{2}\\
&=1.0×10^{-5}
\end{align}
\]

次に水酸化物イオン濃度[OH]を求める。
公式3を使うと…

\[
\begin{align}
[OH^{-}]&=\sqrt{ cK_{b} }\\
&=\sqrt{ 0.10×1.0×10^{-5} }\\
&=1.0×10^{-3}
\end{align}
\]

最後にpHを求める。pHを求めるためにまずは問題文にある[H+][OH]=1.0×10-14の関係を用いて[H+]を導く。

\[
[H^{+}][OH^{-}]=1.0×10^{-14}\\
\begin{align}
↔︎[H^{+}]&=\frac{ 1.0×10^{-14} }{ [OH^{-}] }\\
&=\frac{ 1.0×10^{-14} }{ 1.0×10^{-3} }\\
&=1.0×10^{-11}
\end{align}
\]

そして…

\[
\begin{align}
pH&=-log_{10}[H^{+}]\\
&=-log_{10}(1.0×10^{-11})\\
&=11
\end{align}
\]

※電離平衡の計算問題の解き方について詳しくは電離平衡(公式の導出・例・pHが絡む計算問題の解き方など)を参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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