【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答を掲載しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。一問一答コンテンツ一覧は化学のグルメ『高校化学・化学基礎一問一答コンテンツ一覧』をご覧下さい。

一問一答

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

ボルタ電池の負極は【1】板、正極は【2】板である。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】亜鉛【2】銅

ボルタ電池の負極は亜鉛板、正極は銅板である。

※ボルタ電池について詳しくはボルタ電池(仕組み・各極の反応・分極の理由など)を参照

問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

ボルタ電池では、まずイオン化傾向のより【1(大きor小さ)】い亜鉛板が溶け出し【2】となる。
このとき放出された【3】は銅板側に伝わる。
銅板側で【3】は希H2SO4中の【4】が受け取って【5】が発生する。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】大き【2】亜鉛イオンZn2+【3】電子e【4】水素イオンH+【5】水素H2

ボルタ電池の仕組みは下記の通り。

STEP1

イオン化傾向の大きい金属板が溶ける

まずは、イオン化傾向の大きい金属板が溶ける。(詳しくはイオン化傾向(覚え方・定義・金属板の反応のしやすさ)を参照)

ボルタ電池に使われている金属板はCuとZnであり、これらのうちイオン化傾向がより高いのはZnである。したがって、Zn板が溶け出す。
また、ZnがZn2+という陽イオンになったので、電子eが発生していることも確認しておこう。

STEP2

STEP1で発生した電子eがもう片方の金属板の方へ流れる

STEP1で発生した電子eがCu板側に伝わる。

このとき、電子eが通過することで(電流が発生して)豆電球が点灯していることに注目しよう。

STEP3

流れてきたeが(溶液中の)イオン化傾向の小さい陽イオンとくっつく

Cu板に流れてきた電子eは、希H2SO4中に存在しているHとくっつく。(=気体のH2発生)

※ボルタ電池について詳しくはボルタ電池(仕組み・各極の反応・分極の理由など)を参照

問3

ボルタ電池の正極・負極で起こっている変化をそれぞれ電子eを用いた反応式で表せ。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:【正極】2H+ + 2e → H2【負極】Zn → Zn2+ + 2e

ボルタ電池の負極・正極での反応は次の通り。

負極
ボルタ電池の負極では、Zn板が溶け出してZn2+とeが発生する。

\[
Zn→Zn^{2+}+2e^{-}
\]

正極
ボルタ電池の正極では、H2SO4中に存在しているH+がeを受け取ることでH2が発生する。

\[
2H^{+}+2e^{-}→H_{2}
\]

※ボルタ電池について詳しくはボルタ電池(仕組み・各極の反応・分極の理由など)を参照

問4

【】に当てはまる用語を答えよ。

ボルタ電池の放電では、正極で発生する【1】が原因で起電力が低下する。
その結果、電子の受け渡しに不具合が生じ、電圧が急激に低下する【2】という現象が起こる。【2】を防ぐためにはH2O2などの【3】を溶液に加える必要がある。

【問4】解答/解説:タップで表示
解答:【1】水素H2【2】分極【3】減極剤

ボルタ電池では、正極で気体の水素(H2)を発生する。

ボルタ電池を使い続けるとこのH2がCu板の周りに溜まってくる。

溜まったH2は、水溶液中のHが負極からやってきたeを受け取るのを妨害してしまう。

その結果、電子の受け渡しに不具合が生じ、電圧が急激に低下する分極という現象が起こる。
分極を防ぐためには、H2O2などの減極剤を溶液に加える必要がある。

※ボルタ電池について詳しくはボルタ電池(仕組み・各極の反応・分極の理由など)を参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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