【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答を掲載しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。一問一答コンテンツ一覧は化学のグルメ『高校化学・化学基礎一問一答コンテンツ一覧』をご覧下さい。

一問一答

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

酸化剤と還元剤を用いて酸化還元反応を表した式を【1】という。【1】は、酸化剤に関する(仮の)反応式と、還元剤に関する(仮の)反応式を組み合わせることによって作られている。この、【1】を作る際に必要な酸化剤・還元剤に関する(仮の)反応式を【2】という。

【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】酸化還元反応式【2】半反応式

※半反応式・酸化還元反応式について詳しくは以下のページを参照

問2

塩素の半反応式を書け。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:Cl2 + 2e → 2Cl
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
Cl_{2} → Cl^{-}
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
Cl_{2} → 2Cl^{-}
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
Cl_{2} → 2Cl^{-}
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
Cl_{2} → 2Cl^{-}
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
Cl_{2} + 2e^{-} → 2Cl^{-}
\]

※半反応式・酸化還元反応式について詳しくは以下のページを参照

問3

濃硝酸の半反応式を書け。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:HNO3 + H+ + e → NO2 + H2O
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
HNO_{3} → NO_{2}
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
HNO_{3} → NO_{2}
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
HNO_{3} → NO_{2} + H_{2}O
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
HNO_{3} + H^{+} → NO_{2} + H_{2}O
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
HNO_{3} + H^{+} + e^{-} → NO_{2} + H_{2}O
\]

※半反応式・酸化還元反応式について詳しくは以下のページを参照

問4

過マンガン酸カリウムの半反応式を書け。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
MnO_{4}^{-} → Mn^{2+}
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
MnO_{4}^{-} → Mn^{2+}
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
MnO_{4}^{-} → Mn^{2+} + 4H_{2}O
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
MnO_{4}^{-} + 8H^{+} → Mn^{2+} + 4H_{2}O
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
MnO_{4}^{-} + 8H^{+} + 5e^{-} → Mn^{2+} + 4H_{2}O
\]

※半反応式・酸化還元反応式について詳しくは以下のページを参照

問5

硫化水素の半反応式を書け。
【問5】解答/解説:タップで表示
解答:H2S → S + 2H+ + 2e
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
H_{2}S → S
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
H_{2}S → S
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
H_{2}S → S
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
H_{2}S → S + 2H^{+}
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
H_{2}S → S + 2H^{+} + 2e^{-}
\]

※半反応式・酸化還元反応式について詳しくは以下のページを参照

問6

シュウ酸の半反応式を書け。
【問6】解答/解説:タップで表示
解答:H2C2O4 → 2CO2 + 2H+ + 2e
STEP1 酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
STEP2 両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
STEP3 両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
STEP4 両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
STEP5 両辺について、電荷をeを用いて合わせる
Point!

STEP1

酸化剤(還元剤)が何から何になるのかを書く
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → CO_{2}
\]

ここは、暗記しておくべきところ。
(まだ覚えていなかったら半反応式一覧を確認)

STEP2

両辺について、OとH以外の原子の数を合わせる
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2}
\]

STEP3

両辺について、O原子の数をH2Oを用いて合わせる
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2}
\]

STEP4

両辺について、H原子の数をH+を用いて合わせる
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2} + 2H^{+}
\]

STEP5

両辺について、電荷をeを用いて合わせる
\[
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2} + 2H^{+} + 2e^{-}
\]

※半反応式・酸化還元反応式について詳しくは以下のページを参照

問7

塩素と硫化水素の酸化還元反応式を書け。
【問7】解答/解説:タップで表示
解答:Cl2 + H2S → 2HCl + S
STEP1 2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
STEP2 2つの式を足し合わせる
STEP3 反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
Point!

STEP1

2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
\[
Cl_{2}+2e^{-}→2Cl^{-}\\
H_{2}S→S+2H^{+}+2e^{-}
\]

2つの式の電子(e)の数がそろうようにかけ算で調節する。
しかしここでは最初からそろっているので何もしない。

STEP2

2つの式を足し合わせる
\[
\begin{array}{rr}
& Cl_{2}+2e^{-}→2Cl^{-}\\
+\big{)}&H_{2}S→S+2H^{+}+2e^{-}\\
\hline
&Cl_{2}+H_{2}S+\bcancel{2e^{-}} →2HCl+S+\bcancel{2e^{-}}
\end{array}
\]

2つの式を足し合わせる。
ここで、電子は左右に同じ数あるので消す。

STEP3

反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
\[
Cl_{2} + H_{2}S → 2HCl + S
\]

反応物(左側のヤツ)であるイオンの対のイオンを加えてイオンを消す。
しかし、ここでは反応物にイオンは書かれていないので何もしない。

※半反応式・酸化還元反応式について詳しくは以下のページを参照

問8

濃硝酸とシュウ酸の酸化還元反応式を書け。
【問8】解答/解説:タップで表示
解答:2HNO3 + H2C2O4 → 2NO2 + 2CO2 + 2H2O
STEP1 2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
STEP2 2つの式を足し合わせる
STEP3 反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
Point!

STEP1

2つの半反応式の電子(e)の数が揃うように調節する
\[
HNO_{3} + H^{+} + e^{-} → NO_{2} + H_{2}O ×2\\
H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2} + 2H^{+} + 2e^{-}
\]

2つの式の電子(e)の数がそろうようにかけ算で調節する。
しかしここでは最初からそろっているので何もしない。

STEP2

2つの式を足し合わせる
\[
\begin{array}{rr}
& HNO_{3} + H^{+} + e^{-} → NO_{2} + H_{2}O ×2\\
+\big{)}&H_{2}C_{2}O_{4} → 2CO_{2} + 2H^{+} + 2e^{-}\\
\hline
&2HNO_{3}+\bcancel{2H^{+}}+H_{2}C_{2}O_{4}+\bcancel{2e^{-}} →2NO_{2}+2CO_{2}+2H_{2}O+\bcancel{2H^{+}}+\bcancel{2e^{-}}
\end{array}
\]

2つの式を足し合わせる。
ここで、電子は左右に同じ数あるので消す。

STEP3

反応物であるイオンの対となるイオンを加えて、式からイオンを消す(イオン式から通常の反応式へ)
\[
2HNO_{3}+H_{2}C_{2}O_{4}→2NO_{2}+2CO_{2}+2H_{2}O
\]

反応物(左側のヤツ)であるイオンの対のイオンを加えてイオンを消す。
しかし、ここでは反応物にイオンは書かれていないので何もしない。

※半反応式・酸化還元反応式について詳しくは以下のページを参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細