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気体の状態方程式(単位・導出・計算問題の解き方など)
はじめに
【プロ講師解説】このページでは『気体の状態方程式(単位・導出・計算問題の解き方など)』について解説しています。
気体の状態方程式の導出
- ボイル・シャルルの法則より、P、V、Tの値が変化しても、PV/Tは一定である。
\[ \frac{ PV }{ T }
=
\underbrace{ k }
_{ \text{ 一定 }} \]
- 標準状態(0℃、1.013×105Pa)における気体1molあたりの体積(モル体積)Vmは22.4L/molである。
- したがって、気体の物質量が1molのとき、定数kの値は次のようになる。
\[ \begin{align}&k=\frac{ PV_{m} }{ T }\\
&=\frac{ 1.013×10^{5}(\mathrm{Pa})×22.4(\mathrm{L/mol}) }{ 273(\mathrm{K}) }\\
&\mathrm{≒8.31×10^{3}(\frac{ Pa・L }{ K・mol })}\end{align} \]
- この値は気体の種類によらず一定であり、気体定数と呼ばれ、記号Rで表される。
- 気体定数Rを用いてボイル・シャルルの法則を表すと次のようになる。
\[ \frac{ PV_{m} }{ T }=R・・・① \]
- 物質量n(mol)の気体の体積Vは、1molあたりの体積Vmのn倍である。したがって、次の関係が成り立つ。
\[ \begin{align}&V=nV_{m}\\
&\leftrightarrow V_{m}=\frac{ V }{ n }\end{align} \]
- これを①式に代入すると、次のようになる。
\[ \begin{align}&\frac{ PV }{ nT }=R\\
&\leftrightarrow PV=nRT・・・②\end{align} \]
- この②式を(理想)気体の状態方程式という。
- 気体の状態方程式を用いれば、圧力P(Pa)、体積V(L)、絶対温度T(K)、物質量n(mol)のうち不明な値を、他の値を利用して求めることができる。
気体の状態方程式と分子量・密度の関係
- 気体の状態方程式は勿論そのまま使っても構わないが、変形して利用することもできる。
- 気体の分子量をM、n(mol)の気体の質量をw(g)とすると、次の関係が成り立つ。
\[ n=\frac{ w }{ M } \]
- これを②式に代入すると、次のようになる。
\[ \begin{align}&PV=nRT\\
&\leftrightarrow PV=\frac{ w }{ M }RT\\
&\leftrightarrow M=\frac{ w }{ V }・\frac{ RT }{ P }\end{align} \]
- さらに、気体の密度d(g/L)は、次のように表すことができる。
\[ d=\frac{ w }{ V } \]
- 以上を考慮すると、次のような関係を導くことができる。
\[ \begin{align}&M=\frac{ w }{ V }・\frac{ RT }{ P }\\
&\leftrightarrow M=d・\frac{ RT }{ P }・・・③\end{align} \]
- ③式を用いれば、気体の密度d(g/L)、圧力P、絶対温度Tから気体の分子量Mを求めることができる。
気体の状態方程式を使った計算問題の解き方
- 気体の状態方程式を使った計算問題の解き方について、例題を用いて解説する。
温度一定の場合
2.0×105Paで体積が2.0Lの気体を、温度を変えずに4.0×105Paにすると、体積は何Lになるか。
- まず、温度を変えていないことから以下のように考える。
\[ PV
=
\underbrace{ n }
_{ \text{ 一定 }}
\underbrace{ R }
_{ \text{ 一定 }}
\underbrace{ T }
_{ \text{ 一定 }} \]
- Rは元々定数(8.31×103)で、nも特に記載がない限り一定と考えて構わない。
- 一定の部分は反応前でも反応後でも常に同じなので、変化前の圧力と体積をP1、V1、変化後をP2、V2とすると、次のような式をたてることが出来る。
\[ \underbrace{ P_{1}V_{1} }
_{ \text{ 反応前 }}
=
\underbrace{ P_{2}V_{2} }
_{ \text{ 反応後 }}
\]
- この式に、問題文からわかる数値を入れると、次のようになる。
\[ \begin{align}&P_{1}V_{1}=P_{2}V_{2}\\
&\leftrightarrow 2.0×10^{5}(\mathrm{Pa})×2.0(\mathrm{L})=4.0×10^{5}(\mathrm{Pa})×V_{2}(\mathrm{L})\\
&\leftrightarrow V_{2}=1.0(\mathrm{L})\end{align} \]
- ちなみに、P1×V1=P2×V2の式は、ボイルの式とよばれている。
- 気体の状態方程式の中で定数の部分をひとまとめにし、反応前と後を結び、方程式をつくる。これが気体計算の基本なので良く覚えておこう。
圧力一定の場合
一定圧力のもとで、0℃で2.0Lの気体を200℃まで上げると気体の体積は何Lになるか。
- 最初の例題と同じように、一定の部分に印をつけると次のようになる。
\[ \underbrace{ P }
_{ \text{ 一定 }}
V
=
\underbrace{ n }
_{ \text{ 一定 }}
\underbrace{ R }
_{ \text{ 一定 }}
T
\]
- 次に、一定の部分を固める(最初の例題では最初からまとまっていたためこの作業は必要なかった)。
\[ \frac{ V }{ T }
=
\underbrace{ \frac{ nR }{ P } }
_{ \text{ 一定 }} \]
- ここからは、先ほどと同様に反応前と後で方程式をつくる。
\[ \underbrace{ \frac{ V_{1} }{ T_{1} } }
_{ \text{ 反応前 }}
=
\underbrace{ \frac{ V_{2} }{ T_{2} } }
_{ \text{ 反応後 }} \]
- この式に、問題文からわかる数値を入れると、次のようになる。
\[ \begin{align}&\frac{ V_{1} }{ T_{1} }=\frac{ V_{2} }{ T_{2} }\\
&\leftrightarrow \frac{ 2.0(\mathrm{L}) }{ (0+273)(\mathrm{K}) }=\frac{ V_{2}(\mathrm{L}) }{ (200+273)(\mathrm{K}) }\\
&\leftrightarrow V_{2}≒3.5(\mathrm{L})\end{align} \]
演習問題
化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。
次の式を【1】という。
PV=nRT
解答/解説:タップで表示
解答:【1】気体の状態方程式
ボイル・シャルルの法則より、P、V、Tの値が変化しても、PV/Tは一定である。
\[ \frac{ PV }{ T }
=
\underbrace{ k }
_{ \text{ 一定 }} \]
標準状態(0℃、1.013×105Pa)における気体1molあたりの体積(モル体積)Vmは22.4L/molである。
したがって、気体の物質量が1molのとき、定数kの値は次のようになる。
\[ \begin{align}&k=\frac{ PV_{m} }{ T }\\
&\mathrm{=\frac{ 1.013×10^{5}(Pa)×22.4(L/mol) }{ 273(K) }}\\
&\mathrm{≒8.31×10^{3}(\frac{ Pa・L }{ K・mol })}\end{align} \]
この値は気体の種類によらず一定であり、気体定数と呼ばれ、記号Rで表される。
気体定数Rを用いてボイル・シャルルの法則を表すと次のようになる。
\[ \frac{ PV_{m} }{ T }=R・・・① \]
物質量n(mol)の気体の体積Vは、1molあたりの体積Vmのn倍である。したがって、次の関係が成り立つ。
\[ \begin{align}&V=nV_{m}\\
&\leftrightarrow V_{m}=\frac{ V }{ n }\end{align} \]
これを①式に代入すると、次のようになる。
\[ \begin{align}&\frac{ PV }{ nT }=R\\
&\leftrightarrow PV=nRT・・・②\end{align} \]
この②式を(理想)気体の状態方程式という。
気体の状態方程式を用いれば、圧力P(Pa)、体積V(L)、絶対温度T(K)、物質量n(mol)のうち不明な値を、他の値を利用して求めることができる。
1.0×105Paで体積が3.0Lの気体を、温度を変えずに5.0×105Paにすると、体積は何Lになるか。
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解答:0.60L
\[ \begin{align}&P_{1}V_{1}=P_{2}V_{2}\\
&\leftrightarrow 1.0×10^{5}(\mathrm{Pa})×3.0(\mathrm{L})=5.0×10^{5}(\mathrm{Pa})×V_{2}(\mathrm{L})\\
&\leftrightarrow V_{2}=0.60(\mathrm{L})\end{align} \]
3.0×105Paで体積が6.0Lの気体を、温度を変えずに6.0×105Paにすると、体積は何Lになるか。
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解答:3.0L
\[ \begin{align}&P_{1}V_{1}=P_{2}V_{2}\\
&\leftrightarrow 3.0×10^{5}(\mathrm{Pa})×6.0(\mathrm{L})=6.0×10^{5}(\mathrm{Pa})×V_{2}(\mathrm{L})\\
&\leftrightarrow V_{2}=3.0(\mathrm{L})\end{align} \]
一定圧力のもとで、0℃で5.0Lの気体を273℃まで上げると気体の体積は何Lになるか。
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解答:10L
\[ \begin{align}&\frac{ V_{1} }{ T_{1} }=\frac{ V_{2} }{ T_{2} }\\
&\leftrightarrow \frac{ 5.0(\mathrm{L}) }{ (0+273)(\mathrm{K}) }=\frac{ V_{2}(\mathrm{L}) }{ (273+273)(\mathrm{K}) }\\
&\leftrightarrow V_{2}=10(\mathrm{L})\end{align} \]
一定圧力のもとで、27℃で2.0Lの気体を327℃まで上げると気体の体積は何Lになるか。
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解答:4.0L
\[ \begin{align}&\frac{ V_{1} }{ T_{1} }=\frac{ V_{2} }{ T_{2} }\\
&\leftrightarrow \frac{ 2.0(\mathrm{L}) }{ (27+273)(\mathrm{K}) }=\frac{ V_{2}(\mathrm{L}) }{ (327+273)(\mathrm{K}) }\\
&\leftrightarrow V_{2}=4.0(\mathrm{L})\end{align} \]
2.0×105Paで3.0Lの気体を、温度を変えずに1.0Lにするためには圧力を何Paにすればよいか。
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解答:6.0×105Pa
\[ \begin{align}&P_{1}V_{1}=P_{2}V_{2}\\
&\leftrightarrow 2.0×10^{5}(\mathrm{Pa})×3.0(\mathrm{L})=P_{2}(\mathrm{Pa})×1.0(\mathrm{L})\\
&\leftrightarrow P_{2}=6.0×10^{5}(\mathrm{Pa})\end{align} \]
体積が変化しない27℃の容器に、2.0×105Paの気体が入っている。温度を327℃に上げると圧力は何Paになるか。
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解答:4.0×105Pa
\[ \begin{align}&\frac{ P_{1} }{ T_{1} }=\frac{ P_{2} }{ T_{2} }\\
&\leftrightarrow \frac{ 2.0×10^{5}(\mathrm{Pa}) }{ (27+273)(\mathrm{K}) }=\frac{ P_{2}(\mathrm{Pa}) }{ (327+273)(\mathrm{K}) }\\
&\leftrightarrow P_{2}=4.0×10^{5}(\mathrm{Pa})\end{align} \]
体積が変化しない27℃の容器に、3.0×105Paの気体が入っている。温度を627℃に上げると圧力は何Paになるか。
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解答:9.0×105Pa
\[ \begin{align}&\frac{ P_{1} }{ T_{1} }=\frac{ P_{2} }{ T_{2} }\\
&\leftrightarrow \frac{ 3.0×10^{5}(\mathrm{Pa}) }{ (27+273)(\mathrm{K}) }=\frac{ P_{2}(\mathrm{Pa}) }{ (627+273)(\mathrm{K}) }\\
&\leftrightarrow P_{2}=9.0×10^{5}(\mathrm{Pa})\end{align} \]