【プロ講師解説】このページでは『ファラデーの法則及び電気量計算の公式・解き方』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
ファラデーの法則
電極で変化するイオンの物質量(mol)は流れた電気量(C)に比例する。
これを、ファラデーの法則という。
電気量・ファラデー定数
電気量はクーロン(C)とファラデー(F)の2つの単位で表される。
1Cは1アンペア(A)の電流が1秒間流れたときの電気量である。
電気量(C) = 電流(A) × 時間(秒)
\]
1Fは電子1molのもつ電気量である。
電気量(F) = 9.65 × 10^{4}(c/mol)
\]
ちなみに、この9.65×104という数値はファラデー定数と呼ばれる。
電気量計算の解法
電気量計算は上の関係を意識すれば誰でも簡単に解くことができる。
いくつか例題用いて解説していこう。
(1)
問題
問題文に電流(A)と時間(秒)が書かれているので、まずはそれを使って流れた電気量(C)を求める。
\mathrm{ 5(A)×3860(秒)=19300(C) }
\]
次に、求めた電気量とファラデー定数を用いて流れた電子e–のmolを求める。
\mathrm{ \begin{align}
e^{-}(mol)&=\frac{ 19300(C) }{ 9.65×10^{4}(C/mol) }\\
&=0.2
\end{align} }
\]
(2)
問題
次の反応において、9650Cの電気量を使用したときに流れた電子e–の物質量は何molか。また、そのとき析出した銅Cuの質量は何gか。ただし、Cu=64とする。Cu2+ + 2e– → Cu
まずは、電気量とファラデー定数を用いて流れた電子e–のmolを求める。
\mathrm{ \begin{align}
e^{-}(mol)&=\frac{ 9650(C) }{ 9.65×10^{4}(C/mol) }\\
&=0.1
\end{align} }
\]
次に、反応量計算を行い、銅の析出量を求める。
2:64=0.1:x\\
\leftrightarrow x=3.2(g)
\]
(3)
問題
次の反応において、3Aの電流を1930秒流したときに発生する酸素は標準状態で何Lか。2H2O → O2 + 4H+ + 4e–
問題文に電流(A)と時間(秒)が書かれているので、まずはそれを使って流れた電気量(C)を求める。
\mathrm{ 3(A)×1930(秒)=5790(C) }
\]
次に、求めた電気量とファラデー定数を用いて流れた電子e–のmolを求める。
\mathrm{ \begin{align}
e^{-}(mol)&=\frac{ 5790(C) }{ 9.65×10^{4}(C/mol) }\\
&=0.06
\end{align} }
\]
最後に、反応量計算を行い、酸素の発生量を求める。
22.4:4=x:0.06\\
\leftrightarrow x=0.336(L)
\]
演習問題
問1
電極で変化するイオンの物質量(mol)は流れた電気量(C)に比例する。これを【1】の法則という。
問2
1クーロン(C)は1アンペア(A)の電流が1【1】間流れた時の電気量である。
問3
1【1】は電子1molのもつ電気量である。
問4
5Aの電流を3860秒間流したときに流れた電気量は【1】Cである。
また、そのときに流れた電子e–の物質量は【2】molである。
問5
次の反応において、9650(C)の電気量を使用したときに流れた電子e–の物質量は【1】molである。
また、そのとき析出した銅Cuの質量は【2】gである。ただし、Cu=64とする。
Cu2+ + 2e– → Cu
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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