【プロ講師解説】このページでは『モル濃度計算(公式・希釈時の濃度・密度や質量パーセント濃度との変換など)』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。
モル濃度とは・公式




モル濃度とは溶質の物質量molを溶液の体積Lで割ったものである。
上の式はモル濃度を求める公式として知られており、しっかりと暗記しておく必要がある。
ちなみに、溶液・溶質というのがそれぞれ何を指すのかは正確に理解しておこう。(↓)
溶質は溶けている物質、溶媒は溶質を溶かしている液体、溶液は溶質と溶媒を合わせたものである。
モル濃度の計算解法




モル濃度は基本的には上で紹介した公式に溶質のmol、溶液のLを代入すれば求めることができる。
問題
公式に当てはめると次のようになる。
\begin{align} モル濃度(mol/L) &=\frac{ 溶質(mol) }{ 溶液(L) } \\
&=\frac{ 2.0(mol) }{ 4.0(L) } \\
&≒0.50(mol/L) \end{align}
\]
毎回このように出題してくれれば簡単だけど、実際はもう少しひねった問題が出されることが多い。
次は少し応用の「gとLが与えられている場合」のモル濃度計算について説明していこう。
モル濃度計算でgとLが与えられている場合
先ほどの例題ではmolとLが与えられていたが、gとLが与えられていて、そこからモル濃度を求めていく問題も出されることがある。
問題
この場合でもモル濃度を求める公式として以下のものを使うことは変わらない。




この公式の分母であるLは既に問題で与えられており、代入するだけ。分子の部分は少し工夫をした計算をする必要がある。
gを分子量g/molで割ることでmolを導き出している。(ここについて詳しくは【モル計算】単位を駆使!物質量molが絡む問題の解法(原子量・体積・アボガドロ数など)を参照)
希釈時のモル濃度を使った計算
希釈時のモル濃度を使った計算として以下の2パターンが有名である。
【パターン2】作りたい溶液のモル濃度が与えられており、それを作るのに何mLの水で薄めればいいかを求める問題
それでは、順番に解説していこう。
【パターン1】モル濃度のわかっている溶液を薄めたときのモル濃度を求める問題
まず始めに、モル濃度の希釈に関する問題を解く上で必ず知っておかなければいけないことを説明しておこう。
溶液を希釈する前と希釈した後の溶質のmol数は変わらない。
これは、よく考えると当然。溶媒が増えて溶液が希釈されたとしても、溶質の量自体は変化しない。
前提としてこれを理解しておくと、次のような公式を作ることができる。
モル濃度mol/Lと溶液の体積Lを掛けると(Lが約分されて)molが出てくる。
このmolの数は、今説明したように反応前も反応後も変わらないから反応前のmol数と反応後のmol数をイコールで繋いでいる。
それでは例題を解いていこう。
問題
問題文に書かれている「希釈前のモル濃度」・「希釈前の溶液の体積」・「希釈後の溶液の体積」を公式に代入すると…
これを解いて、B=0.20(mol/L)となる。
【パターン2】作りたい溶液のモル濃度が与えられており、それを作るのに何mLの水で薄めればいいかを求める問題
問題
このタイプの問題では「希釈前のモル濃度」・「希釈後のモル濃度」・「希釈後の溶液の体積」がわかっているので、これらを公式に代入する。
これを解いて、a=0.80(L)となる。
モル濃度と密度・質量パーセント濃度の変換
モル濃度と密度の関係を式で表すと次のようになる。


密度(g/cm3)に1000/M(Mは分子量g/molのこと)を掛けるとモル濃度(mol/L)を、モル濃度を1000/Mで割ると密度(g/cm3)を求めることができる。ちなみに、この関係は次のように導き出されている。
それでは、この式を押さえた上で次の例題を解いてみよう。
問題
とりあえず密度と分子量を使って計算式を立てる。
基本これを計算すれば終了だが、今回は質量パーセント濃度の記載があるのでそれを掛ける。
演習問題
問1
問2
問3
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・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター
数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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