【プロ講師解説】このページでは『水和物(水和物を含む物質)の加熱』について解説しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。

水和物を含む物質の加熱

結晶中において一定の割合で含まれている水は水和水(結晶水)と呼ばれる。

硫酸銅(Ⅱ)水溶液を冷却して得られる結晶は、硫酸銅(Ⅱ)CuSO4:水和水H2O=1:5の物質量比からなる結晶で、この結晶を硫酸銅(Ⅱ)五水和物といい、化学式は次のようになる。

\[
CuSO_{4}・5H_{2}O
\]

硫酸銅(Ⅱ)五水和物の構造は次のようになっている。

硫酸銅(Ⅱ)五水和物CuSO4・5H2Oは青色結晶であり、これを加熱すると水和水が徐々に取れていき、最終的には白色結晶である(無水)硫酸銅(Ⅱ)CuSO4となる。

このときの質量変化は以下のようになる。

水和水が減るにつれて質量が減少しているのが確認できる。
なお、硫酸銅(Ⅱ)五水和物の質量変化を使った計算問題は入試頻出なので硫酸銅五水和物(化学式・構造式・頻出問題の解法など)で確認しておこう。

このように、水和水を含む物質を加熱すると、一般に水和水が外へ出ていく変化が起こり、シュウ酸カルシウム一水和物などでも同様である。(シュウ酸カルシウム一水和物の場合水和水が取れた後も熱分解反応が進む)

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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