酸化数【高校化学・化学基礎一問一答】

目次

はじめに

【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。


問1

物質のもつ電子が基準よりも多いか少ないかを表した値を【1】という。

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解答:【1】酸化数

物質のもつ電子が基準よりも多いか少ないかを表した値を酸化数という。

参考:酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)

問2

水H2O中のO原子の酸化数を求めよ。

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解答:ー2

ベースのルール

1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
単体の酸化数は0
●RULE2
化合物全体の酸化数は0
●RULE3
イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

プラスのルール

状況に応じて1の方から優先的に使う1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
アルカリ金属 +1
2族元素 +2
●RULE2
水素H原子 +1
●RULE3
酸素O原子 ー2
●RULE4
ハロゲン(ハロゲン化物中) ー1
硫黄S原子(硫化物中) ー2

まず、ベースのルールのRULE2より、H2O全体の酸化数は0である。

\[ \underbrace{ \mathrm{H_{2}O} }
_{ 0 } \]

次に、プラスのルールのRULE2より、H原子の酸化数を+1とする。(今回はHが2個あるので(+1)×2になる)

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ (+1)×2 }
\mathrm{O} }
_{ 0 } \]

以上より、化合物全体の酸化数が0、H原子の酸化数の合計が+2なので、O原子の酸化数は「ー2」となる。

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ (+1)×2 }
\underbrace{ \mathrm{O} }
_{ -2 } }
_{ 0 } \]

H2O2の酸化数

「プラスのルール」のRULE3で酸素O原子の酸化数が「ー2」とあるが、最初から「酸素の酸化数はー2だ!」と決めつけてはいけない。優先順位を意識して考える必要がある。例として、過酸化水素H2O2中の酸素O原子の酸化数を考えていく。

まず、「ベースのルール」のRULE2より、H2O2全体の酸化数は0である。

\[ \underbrace{ \mathrm{H_{2}O_{2}} }
_{ 0 } \]

次に、プラスのルールのRULE2より、H原子の酸化数を+1とする。(今回はHが2個あるので(+1)×2になる)

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ (+1)×2 }
\mathrm{O_{2}} }
_{ 0 } \]

以上より、化合物全体の酸化数が0、H原子の酸化数の合計が+2なので、O原子1個の酸化数は「ー1」となる。

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ (+1)×2 }
\underbrace{ \mathrm{O_{2}} }
_{ (-1)×2 } }
_{ 0 } \]

問3

二酸化炭素CO2中のC原子の酸化数を求めよ。

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解答:+4

ベースのルール

1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
単体の酸化数は0
●RULE2
化合物全体の酸化数は0
●RULE3
イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

プラスのルール

状況に応じて1の方から優先的に使う1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
アルカリ金属 +1
2族元素 +2
●RULE2
水素H原子 +1
●RULE3
酸素O原子 ー2
●RULE4
ハロゲン(ハロゲン化物中) ー1
硫黄S原子(硫化物中) ー2

まず、「ベースのルール」のRULE2より、CO2全体の酸化数は0である。

\[ \underbrace{ \mathrm{CO_{2}} }
_{ 0 } \]

次に、「プラスのルール」のRULE3より、O原子の酸化数をー2とする。(今回はOが2個あるので(ー2)×2になる)

\[ \underbrace{ \mathrm{C}
\underbrace{ \mathrm{O_{2}} }
_{ (-2)×2 } }
_{ 0 } \]

以上より、化合物全体の酸化数が0、O原子の酸化数の合計がー4なので、C原子の酸化数は「+4」となる。

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{C} }
_{ +4 }
\underbrace{ \mathrm{O_{2}} }
_{ (-2)×2 } }
_{ 0 } \]

問4

炭酸水素ナトリウムNaHCO3中のC原子の酸化数を求めよ。

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解答:+4

ベースのルール

1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
単体の酸化数は0
●RULE2
化合物全体の酸化数は0
●RULE3
イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

プラスのルール

状況に応じて1の方から優先的に使う1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
アルカリ金属 +1
2族元素 +2
●RULE2
水素H原子 +1
●RULE3
酸素O原子 ー2
●RULE4
ハロゲン(ハロゲン化物中) ー1
硫黄S原子(硫化物中) ー2

まず、「ベースのルール」のRULE2より、NaHCO3全体の酸化数は0である。

\[ \underbrace{ \mathrm{NaHCO_{3}} }
_{ 0 } \]

次に、プラスのルールのRULE1より、Na原子の酸化数を+1とする。

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{Na} }
_{ +1 }
\mathrm{HCO_{3}}}
_{ 0 } \]

次に、プラスのルールのRULE2より、H原子の酸化数を+1とする。

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{Na} }
_{ +1 }
\underbrace{ \mathrm{H} }
_{ +1 }
\mathrm{CO_{3}}}
_{ 0 } \]

次に、プラスのルールのRULE3より、O原子の酸化数をー2とする。(今回はOが3個あるので(ー2)×3になる)

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{Na} }
_{ +1 }
\underbrace{ \mathrm{H} }
_{ +1 }
\mathrm{C}
\underbrace{\mathrm{ O_{3}} }
_{ (-2)×3 } }
_{ 0 } \]

以上より、化合物全体の酸化数が0、Na原子の酸化数が+1、H原子の酸化数が+1、O原子の酸化数の合計がー6なので、C原子の酸化数は「+4」となる。

\[ \underbrace{ \underbrace{\mathrm{ Na} }
_{ +1 }
\underbrace{\mathrm{ H} }
_{ +1 }
\underbrace{ \mathrm{C} }
_{ +4 }
\underbrace{ \mathrm{O_{3}} }
_{ (-2)×3 } }
_{ 0 } \]

問5

硫酸H2SO4中のS原子の酸化数を求めよ。

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解答:+6

ベースのルール

1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
単体の酸化数は0
●RULE2
化合物全体の酸化数は0
●RULE3
イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

プラスのルール

状況に応じて1の方から優先的に使う1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
アルカリ金属 +1
2族元素 +2
●RULE2
水素H原子 +1
●RULE3
酸素O原子 ー2
●RULE4
ハロゲン(ハロゲン化物中) ー1
硫黄S原子(硫化物中) ー2

まず、「ベースのルール」のRULE2より、H2SO4全体の酸化数は0である。

\[ \underbrace{ \mathrm{H_{2}SO_{4}} }
_{ 0 } \]

次に、プラスのルールのRULE2より、H原子の酸化数を+1とする。(今回はHが2個あるので(+1)×2になる)

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ (+1)×2 }
\mathrm{SO_{4}}}
_{ 0 } \]

次に、プラスのルールのRULE3より、O原子の酸化数をー2とする。(今回はOが4個あるので(ー2)×4になる)

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ (+1)×2 }
\mathrm{S}
\underbrace{ \mathrm{O_{4}} }
_{ (-2)×4 } }
_{ 0 } \]

以上より、化合物全体の酸化数が0、H原子の酸化数の合計が+2、O原子の酸化数の合計がー8なので、S原子の酸化数は「+6」となる。

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{H_{2}} }
_{ (+1)×2 }
\underbrace{ \mathrm{S} }
_{ +6 }
\underbrace{ \mathrm{O_{4}} }
_{ (-2)×4 } }
_{ \mathrm{0} } \]

問6

硫酸イオンSO42ー中のS原子の酸化数を求めよ。

解答/解説:タップで表示

解答:+6

ベースのルール

1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
単体の酸化数は0
●RULE2
化合物全体の酸化数は0
●RULE3
イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

プラスのルール

状況に応じて1の方から優先的に使う1〜3のうちどれか1個を必ず使う

●RULE1
アルカリ金属 +1
2族元素 +2
●RULE2
水素H原子 +1
●RULE3
酸素O原子 ー2
●RULE4
ハロゲン(ハロゲン化物中) ー1
硫黄S原子(硫化物中) ー2

まず、ベースのルールのRULE3より、SO42ー全体の酸化数はー2である。

\[ \underbrace{ \mathrm{SO_{4}^{2-}} }
_{ -2 } \]

次に、プラスのルールのRULE3より、O原子の酸化数をー2とする。(今回はOが4個あるので(ー2)×4になる)

\[ \underbrace{ \mathrm{S}
\underbrace{ \mathrm{O_{4}^{2-}} }
_{ (-2)×4 } }
_{ -2 }
\]

以上より、イオン全体の酸化数がー2、O原子の酸化数の合計がー8なので、S原子の酸化数は「+6」となる。

\[ \underbrace{ \underbrace{ \mathrm{S} }
_{ +6 }
\underbrace{ \mathrm{O_{4}^{2-}} }
_{ (-2)×4 } }
_{ -2 } \]

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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