【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答を掲載しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。一問一答コンテンツ一覧は化学のグルメ『高校化学・化学基礎一問一答コンテンツ一覧』をご覧下さい。

一問一答

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

物質のもつ電子が基準よりも多いか少ないかを表した値を【1】という。

【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】酸化数

酸化数とは、物質のもつ電子が基準よりも多いか少ないかを表した値である。

酸化された物質は、マイナスの電荷をもつ電子eを失うためプラスに帯電する。電子eを1つ失うと酸化数+1、2つ失うと酸化数+2となる。

対して、還元された物質は、マイナスの電荷をもつ電子eを得るため、マイナスに帯電する。電子eを1つ得ると酸化数−1、2つ得ると酸化数−2となる。

※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

問2

NO2中の窒素N原子の酸化数を求めよ。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:+4

【ベースのルール】

RULE1 単体の酸化数は0
RULE2 化合物全体の酸化数は0
RULE3 イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

1~3のうちどれか1つを必ず使う

Point!

【プラスのルール】

RULE1 アルカリ金属 +1
2族元素 +2
RULE2 水素H原子 +1
RULE3 酸素O原子 -2
RULE4 ハロゲン(ハロゲン化物中) -1
硫黄S原子(硫化物中) -2

状況に応じて1の方から優先的に使う

Point!

まず、ベースのルールのRULE2より、NO2全体の酸化数は0である。

\[
\underbrace{ NO_{2} }
_{ 0 }
\]

次に、プラスのルールのRULE3より、O原子の酸化数を-2とする。(今回はOが2つあるので(-2)×2になる)

\[
\underbrace{ N
\underbrace{ O_{2} }
_{ (-2)×2 } }
_{ 0 }
\]

以上より、化合物全体の酸化数が0、O原子の酸化数の合計が-4なので、N原子の酸化数は「+4」となる。

\[
\underbrace{ \underbrace{ N }
_{ +4 }
\underbrace{ O_{2} }
_{ (-2)×2 } }
_{ 0 }
\]

※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

問3

CH4中の炭素C原子の酸化数を求めよ。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:-4

【ベースのルール】

RULE1 単体の酸化数は0
RULE2 化合物全体の酸化数は0
RULE3 イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

1~3のうちどれか1つを必ず使う

Point!

【プラスのルール】

RULE1 アルカリ金属 +1
2族元素 +2
RULE2 水素H原子 +1
RULE3 酸素O原子 -2
RULE4 ハロゲン(ハロゲン化物中) -1
硫黄S原子(硫化物中) -2

状況に応じて1の方から優先的に使う

Point!

まず、ベースのルールのRULE2より、CH4全体の酸化数は0である。

\[
\underbrace{ CH_{4} }
_{ 0 }
\]

次に、プラスのルールのRULE2より、H原子の酸化数を+1とする。(今回はHが4つあるので(+1)×4になる)

\[
\underbrace{ C
\underbrace{ H_{4} }
_{ (+1)×4 } }
_{ 0 }
\]

以上より、化合物全体の酸化数が0、H原子の酸化数の合計が+4なので、C原子の酸化数は「-4」となる。

\[
\underbrace{ \underbrace{ C }
_{ -4 }
\underbrace{ H_{4} }
_{ (+1)×4 } }
_{ 0 }
\]

※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

問4

CH3OH中の炭素C原子の酸化数を求めよ。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:-2

【ベースのルール】

RULE1 単体の酸化数は0
RULE2 化合物全体の酸化数は0
RULE3 イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

1~3のうちどれか1つを必ず使う

Point!

【プラスのルール】

RULE1 アルカリ金属 +1
2族元素 +2
RULE2 水素H原子 +1
RULE3 酸素O原子 -2
RULE4 ハロゲン(ハロゲン化物中) -1
硫黄S原子(硫化物中) -2

状況に応じて1の方から優先的に使う

Point!

まず、ベースのルールのRULE2より、CH3OH全体の酸化数は0である。

\[
\underbrace{ CH_{3}OH }
_{ 0 }
\]

次に、プラスのルールのRULE2より、H原子の酸化数を+1とする。(今回はHが4つあるので(+1)×4になる)

\[
\underbrace{
C \underbrace{ H_{3} }
_{ (+1)×3 }
O
\underbrace{ H }
_{ +1 } }
_{ 0 }
\]

次に、プラスのルールのRULE3より、O原子の酸化数を−2とする。

\[
\underbrace{
C \underbrace{ H_{3} }
_{ (+1)×3 }
\underbrace{ O }
_{ -2 }
\underbrace{ H }
_{ +1 } }
_{ 0 }
\]

以上より、化合物全体の酸化数が0、H原子の酸化数の合計が+4、O原子の酸化数が-2なので、C原子の酸化数は「-2」となる。

\[
\underbrace{
\underbrace{ C }
_{ -2 }
\underbrace{ H_{3} }
_{ (+1)×3 }
\underbrace{ O }
_{ -2 }
\underbrace{ H }
_{ +1 } }
_{ 0 }
\]

※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

問5

H2O2中の酸素O原子の酸化数を求めよ。
【問5】解答/解説:タップで表示
解答:-1

まず、ベースのルールのRULE2より、H2O2全体の酸化数は0である。

\[
\underbrace{ H_{2}O_{2} }
_{ 0 }
\]

次に、プラスのルールのRULE2より、H原子の酸化数を+1とする。(今回はHが2つあるので(+1)×2になる)

\[
\underbrace{ \underbrace{ H_{2} }
_{ (+1)×2 }
O_{2} }
_{ 0 }
\]

以上より、化合物全体の酸化数が0、H原子の酸化数の合計が+2なので、O原子1個の酸化数は「-1」となる。

\[
\underbrace{ \underbrace{ H_{2} }
_{ (+1)×2 }
\underbrace{ O_{2} }
_{ (-1)×2 } }
_{ 0 }
\]

※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

問6

CO32-中の炭素C原子の酸化数を求めよ。
【問6】解答/解説:タップで表示
解答:+4

【ベースのルール】

RULE1 単体の酸化数は0
RULE2 化合物全体の酸化数は0
RULE3 イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

1~3のうちどれか1つを必ず使う

Point!

【プラスのルール】

RULE1 アルカリ金属 +1
2族元素 +2
RULE2 水素H原子 +1
RULE3 酸素O原子 -2
RULE4 ハロゲン(ハロゲン化物中) -1
硫黄S原子(硫化物中) -2

状況に応じて1の方から優先的に使う

Point!

まず、ベースのルールのRULE3より、CO32-全体の酸化数は-2である。

\[
\underbrace{ CO_{3}^{2-} }
_{ -2 }
\]

次に、プラスのルールのRULE3より、O原子の酸化数を-2とする。(今回はOが3つあるので(-2)×3になる)

\[
\underbrace{ C
\underbrace{ O_{3}^{2-} }
_{ (-2)×3 } }
_{ -2 }
\]

以上より、イオン全体の酸化数が-2、O原子の酸化数の合計が-6なので、C原子の酸化数は「+4」となる。

\[
\underbrace{ \underbrace{ C }
_{ +4 }
\underbrace{ O_{3}^{2-} }
_{ (-2)×3 } }
_{ -2 }
\]

※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

問7

HCO3中の炭素C原子の酸化数を求めよ。
【問7】解答/解説:タップで表示
解答:+4

【ベースのルール】

RULE1 単体の酸化数は0
RULE2 化合物全体の酸化数は0
RULE3 イオン全体の酸化数は、その電荷に等しい

1~3のうちどれか1つを必ず使う

Point!

【プラスのルール】

RULE1 アルカリ金属 +1
2族元素 +2
RULE2 水素H原子 +1
RULE3 酸素O原子 -2
RULE4 ハロゲン(ハロゲン化物中) -1
硫黄S原子(硫化物中) -2

状況に応じて1の方から優先的に使う

Point!

まず、ベースのルールのRULE3より、HCO3全体の酸化数は-1である。

\[
\underbrace{ HCO_{3}^{-} }
_{ -1 }
\]

次に、プラスのルールのRULE2より、H原子の酸化数を+1とする。

\[
\underbrace{ \underbrace{ H }
_{ +1 }
CO_{3}^{-} }
_{ -1 }
\]

次に、プラスのルールのRULE3より、O原子の酸化数を-2とする。(今回はOが3つあるので(-2)×3になる)

\[
\underbrace{ \underbrace{ H }
_{ +1 }
C
\underbrace{ O_{3}^{-} }
_{ (-2)×3 } }
_{ -1 }
\]

以上より、イオン全体の酸化数が-1、H原子の酸化数が+1、O原子の酸化数の合計が-6なので、C原子の酸化数は「+4」となる。

\[
\underbrace{ \underbrace{ H }
_{ +1 }
\underbrace{ C }
_{ +4 }
\underbrace{ O_{3}^{-} }
_{ (-2)×3 } }
_{ -1 }
\]

※酸化数について詳しくは酸化数(求め方・ルール・例外・例題・一覧・演習問題)を参照

関連:計算ドリル、作りました。

化学のグルメオリジナル計算問題集「理論化学ドリルシリーズ」を作成しました!

モル計算や濃度計算、反応速度計算など入試頻出の計算問題を一通りマスターできるシリーズとなっています。詳細は【公式】理論化学ドリルシリーズにて!


著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

著者紹介詳細