【プロ講師解説】化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答を掲載しています。解説は高校化学・化学基礎を扱うウェブメディア『化学のグルメ』を通じて6年間大学受験に携わるプロの化学講師が執筆します。一問一答コンテンツ一覧は化学のグルメ『高校化学・化学基礎一問一答コンテンツ一覧』をご覧下さい。

一問一答

問1

【】に当てはまる用語を答えよ。

水素ガスと酸素ガスが反応して水が生成する反応を利用して【1】エネルギーを取り出す装置を【2】という。
【問1】解答/解説:タップで表示
解答:【1】電気【2】燃料電池

燃料電池とは、負極に水素などの燃料、正極に空気中の酸素を使い、電気エネルギーを得る電池である。

高校化学で登場する主な燃料電池は「リン酸型燃料電池」と「アルカリ型燃料電池」の2種類である。

※燃料電池について詳しくは燃料電池(リン酸型・アルカリ型の仕組み、各極の反応式など)を参照

問2

【】に当てはまる用語を答えよ。

燃料電池は水素と酸素の反応を利用して【1】エネルギーを取り出す装置である。
水素と接触する方の極では、水素が電子を出すので【2(正or負)】極であり、【3(酸化or還元)】反応が起こる。
対して、酸素と接触する方の極では、酸素が電子を受け取るので【4(正or負)】極であり、【5(酸化or還元)】反応が起こる。
【問2】解答/解説:タップで表示
解答:【1】電気【2】負【3】酸化【4】正【5】還元

燃料電池とは、負極に水素などの燃料、正極に空気中の酸素を使い、電気エネルギーを得る電池である。

水素と接触する方の極では、水素が電子を出すので負極であり、酸化反応が起こる。
対して、酸素と接触する方の極では、酸素が電子を受け取るので正極であり、還元反応が起こる。

※燃料電池について詳しくは燃料電池(リン酸型・アルカリ型の仕組み、各極の反応式など)を参照

問3

リン酸型燃料電池の負極・正極・全体の反応式を書け。
【問3】解答/解説:タップで表示
解答:【負極】H2 → 2H+ + 2e【正極】O2 + 4H+ + 4e → 2H2O【全体】2H2 + O2 → 2H2O

負極
リン酸型燃料電池の負極の反応式は次の通り。

\[
\mathrm{ H_{2} → 2H^{+} + 2e^{-}}
\]

水溶液中のH2がeを放出してH+となっている。

正極
リン酸型燃料電池の正極の反応式は次の通り。

\[
\mathrm{ O_{2} + 4H^{+} + 4e^{-} → 2H_{2}O }
\]

O2がH+とeを受け取りH2Oとなる。

全体
リン酸型燃料電池の負極と正極の反応式をまとめて、リン酸型燃料電池全体の反応式を作る。

\[
\begin{array}{rr}
& H_{2} → 2H^{+} + 2e^{-} ×2\\
+\big{)}&O_{2} + 4H^{+} + 4e^{-} → 2H_{2}O\\
\hline
&2H_{2}+O_{2} → 2H_{2}O
\end{array}
\]

これが、リン酸型燃料電池の全体式である。
電子の数を合わせて消すために、負極の式を×2していることに注意しよう。

※燃料電池について詳しくは燃料電池(リン酸型・アルカリ型の仕組み、各極の反応式など)を参照

問4

アルカリ型燃料電池の負極・正極・全体の反応式を書け。
【問4】解答/解説:タップで表示
解答:【負極】2H2 + 2OH → 2H2O + 2e【正極】O2 + 2H2O + 4e → 4OH【全体】2H2 + O2 → 2H2O

負極
アルカリ型燃料電池の負極で起こる反応は以下の通り。

STEP1

負極で、水素H2が電子eを離して水素イオンH+となる

余ったH2は外に排出される。

STEP2

放出されたeとH+はそれぞれ正極側に伝わっていく

このとき、電子が通過することで(電流が発生して)豆電球が点灯していることに注目しよう。

STEP3

KOHから電離したOHがH+と反応し、H2Oが生成する

ちなみに、アルカリ型燃料電池の負極の反応式は、H2からH+が生成する式である

\[
\mathrm{ H_{2} → 2H^{+} + 2e^{-}}
\]

に、(溶液中に存在している)OHを足し合わせれば良い。

したがって…

\[
\begin{array}{rr}
& H_{2} → 2H^{+} + 2e^{-} \\
+\big{)}&+ 2OH^{-} + 2OH^{-}\\
\hline
&H_{2}+2OH^{-} → 2H_{2}O + 2e^{-}
\end{array}
\]

これがアルカリ型燃料電池の負極の反応式である。
また、生成したH2Oの一部は排出され、残りは電解液中に残される。

正極
アルカリ型燃料電池の正極で起こる反応は以下のとおり。

負極から流れてきたeと上の反応(H2+2OH→2H2O+2e)で発生して電解液中に取り残されていたH2Oが、正極から吹き込まれたO2と反応し、結果としてOHが生成する。

以上のことを踏まえると、アルカリ型燃料電池の正極の反応式は、

\[
\mathrm{ O_{2} + 2H_{2}O + 4e^{-} → 4OH^{-}}
\]

となる。

全体
アルカリ型燃料電池の正極と負極の反応式をまとめると、次のようになる。

\[
\begin{array}{rr}
& H_{2} + 2OH^{-} → 2H_{2}O + 2e^{-} ×2 \\
+\big{)}&O_{2}+2H_{2}O+4e^{-}→4OH^{-}\\
\hline
&2H_{2}+O_{2} → 2H_{2}O
\end{array}
\]

これが、アルカリ型燃料電池の全体式である。
電子の数を合わせて消すために、負極の式を×2していることに注意しよう。

※燃料電池について詳しくは燃料電池(リン酸型・アルカリ型の仕組み、各極の反応式など)を参照

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著者プロフィール

・化学のグルメ運営代表
・高校化学講師
・薬剤師
・デザイナー/イラストレーター

数百名の個別指導経験あり(過去生徒合格実績:東京大・京都大・東工大・東北大・筑波大・千葉大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆

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